目を塞ぎ耳を覆いたくなるもの

テレビを見ていると、どうにもリモコンが手放させない。 頻繁にチャンネルを変えたくなるからだ。 変えた先から、またすぐ別のチャンネルに変えたくなることも多い。 放送局が悪いのではない。 放送内容を見聞きしたくない私の問題な … 続きを読む

創造という生き方

世の中は人の手で創られたもので満ちている。 それは草木のように自然に生えてきたものではなく、過去の人々が自分の感性と知恵を活かして創造したものだ。   それらを便利に使わせてもらい、楽しく遊ばせてもらう生き方はできる。  … 続きを読む

流転する規格と、遺物化される目の前の価値

先日、大手家電量販店の大型店舗を訪れた。 そこには高級オーディオの取扱コーナーがあり、立派な視聴室まで完備されていた。 私は若い頃オーディオに凝っていて、かなり散財したものだ。   少し覗いただけで違和感を覚えたのは、展 … 続きを読む

晩酌という儀式

晩酌は私にとって一日の終わりを静かに解き放つひとときだ。 どうやら私は、生活の中にある小さな儀式が好きらしい。 そう意識してきたわけではないが、ふり返って見ると、生活習慣を超えて行動の細部にまで自分なりの「こだわり」が染 … 続きを読む

通勤電車がつないだ、ふたつの世界のあいだで

先日、久しぶりに都心に出かけた。 池袋の東京芸術劇場で開催されるコンサートを聴きに行くためだ。 都心にはできれば行きたくないのだが、コンサートだけは仕方が無い。 私の住む埼玉県飯能市から池袋までは、かつて通勤で毎日乗って … 続きを読む

孫に気付かされた子供への愛

私は二十五歳で妻と知り合い、二十八歳で結婚し、娘が生まれたのは二十九歳、息子が生まれたのは三十歳だった。 外から見れば、万事順調に家庭生活が始まったように映っただろう。 だが実際には、すべてが絵に描いたように進んでいたわ … 続きを読む

永遠の憧れの音大生

人生で叶えられなかったことのひとつに、音大生と親しくお付き合いすることがある。 私はとにかく音大生に、一方ならぬ憧れを抱いていた。   その原点は、幼稚園時代にさかのぼる。 私の家はたまたま武蔵野音楽大学の近くにあり、付 … 続きを読む

人は何に心を奪われるのか

芸術の世界にあるものは、観る者の嗜好によってその評価が大きく左右される。 そしてよく観察すると、そもそもその対象に対する「着目点」そのものが、人によってまったく異なっていることに気づく。   例えば映画であれば、 「登場 … 続きを読む

朝の祈りが連れて来た人

今朝のゴミ拾い散歩は、家から二キロほど離れた立派な神社と、その近くにある立派な寺を参拝しながら歩くコースだった。 予定通り歩き、あとに十五分も歩けば家に着くという地点まで来たときのことだった。   屈みながらトングで、数 … 続きを読む

哲学をするとき・懺悔をするとき

誰しも、未知の世界へ足を踏み入れたとき、どう振る舞えばよいのか分からず戸惑うものだ。 無我夢中で生きてきた過去から突き放され、心に空洞が生まれている自分に気づく。 小さくてもいいから生きがいや目標を見つけなくてはと思うが … 続きを読む

スマホだから、電子劇薬中毒

今日も静かな畑に囲まれた裏道を歩いていると、後ろから歌や話し声のようなものが聞こえてきた。 すっと追い越していったのは、背中にリュックサックを背負った男性が乗る自転車だった。 追い越されざまに後ろ姿の顔を見たが、首元まで … 続きを読む

生命のリレーのために、華やかに着飾るとき

春になるとそこら中に色とりどりの花が咲き乱れる。 梅やモクレンから春は始まり、家々の庭先にはスイセン、ヒヤシンス、フリージア、パンジーが姿を見せる。   春本番となると、桃や桜が咲き乱れる。 桜が散り、八重桜が重たげに花 … 続きを読む

声という生命の音 ― 人間の声はなぜ楽器を超えるのか

オペラ歌手の歌を聴くと、どうしてあのような素晴らしい声が出せるのだろうと、心から感心してしまう。 私はクラシック音楽のオーケストラを聴くとき、耳で聴くだけでなく、演奏者ひとりひとりの動きを食い入るように観察する。 楽器の … 続きを読む

焙煎という旅路 ― コーヒーと私の小さな工房から

朝の寝起きの一杯や、家でくつろいでいるときに飲む一杯のコーヒーは、体の隅々に血を巡らせてくれる。 本当に不思議な飲み物だ。 調べてみると、コーヒーの起源は年以上も昔、エチオピアで発見された赤い実の「覚醒作用」にあり、その … 続きを読む

春の朝、鳥たちの合唱に立ち止まる

朝早く、散歩にでかけようと家の前に立った。 まだ人々の一日の営みが始まる前の澄みきった静けさの中に、ひときわ明るく爽やかな鳥の声が響き渡っていた。 まるで人間がお喋りをしているかのように、絶え間なく華やかに啼き続ける鳥 … 続きを読む

哲学と仏道の静かな旅

映画や小説では、歳を重ねたり人生の大きな壁に直面した人が「仏門に入る」と語る場面をよく目にする。 世俗を離れ、仏の弟子として生きるという意味だが、必ずしも出家して僧侶になったり、寺で厳しい修業を積んだりすることだけを指す … 続きを読む

涎が垂れる昭和レトロ

『男はつらいよ』を観ていて、涎が垂れそうになる場面がふたつある。 ひとつは、タコ社長やおいちゃんが実にうまそうに吸うたばこだ。 私はもう何年も前に禁煙し、普段はそのことをすっかり忘れているのに、人が美味しそうに吸っている … 続きを読む

一枚を撮るということ

スマホが広まった今では、誰もが写真を簡単に撮影し、溢れるほどの数の写真をメモリーやネット空間に保存している。 もはや一度に全部を見ることなど到底できない。 撮る側は、枚数などまったく気にしない。 子どもにスマホを渡して、 … 続きを読む

昭和レトロが語るアナログの価値

何と言っても『男はつらいよ』に出てくるシーンは、すべて昭和レトロそのものだ。 あの映画をみて懐かしさを覚えるのは、昭和を生きてきた世代だろう。 しかし近年の昭和レトロ・ブームを眺めていると、その懐かしさが昭和を知らない世 … 続きを読む

決して軽んじてはならない ― ウィルス対策ソフトの仕事

パソコン人間になって五十年。 一時は十台近いパソコンを同時に稼働させていたこともある。 そんなハードユーザーの私が、これまでウィルス被害に遭わずに済んできたのは、運が良かったか、あるいは常に使ってきたウィルス対策ソフトの … 続きを読む

深掘り『男はつらいよ』 ― 寅さん映画の神髄とは

  1.はじめに   主に昭和の時代に制作されたこの映画は、過去のものとなりつつあり、昭和生まれの私には慣れ親しんできた物語であっても、今の若い人たちには馴染みが薄いだろう。   今の時代は不寛容であり、人間関係は希薄化 … 続きを読む

間違えたり、しらばっくれたり、しらを切ったり

最近の私は、AIのハードユーザーと化している。 Webサイト作りのプログラム開発はもちろん、ありとあらゆる場でAIを活用している。   先日GeminiとCopilotに二股をかけることによって、はじめてプログラミングが … 続きを読む

縦書きか横書きか ― 日本語の悩み

「手書きの温もり」という表現は、手紙において最も説得力をもつように思う。 私の銀行勤め時代の後輩は、昔から時々、封書で手紙を送ってくれる。 しかも和紙の縦書き便箋を使っている。 最近になってパソコン印刷になったが、手書き … 続きを読む

その人にしか創れないもの

思い出す限り、私が人生で最初に「創作らしき体験」をしたのは、小学五、六年生の頃だった。 通っていた小学校の校門のすぐ脇には大きなヒマヤラ杉が立っており、私はそれを絵の具でスケッチした。 なぜかその絵がどんなものであったか … 続きを読む

春の門出と人生航路

今年も入社式の季節がやってきた。 テレビで報道されるさまざまな会社の入社式風景は、とてもノスタルジックだ。 何と言っても社会人としての第一歩を踏み出す瞬間である。 昔と違うのは、どこの会社でも外国人を数名採用しているケー … 続きを読む

「偉人」という言葉への疑い ― なぜ私たちは権力者の物語に酔ってしまうのか

今放送されているNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に始まり、テレビや映画で歴史上の偉人を取り上げた作品は昔から数多くある。 私はこの類の作品を見るたびに、複雑な思いにとらわれる。 「偉人とは何か」という、歴史を振り返る際の基 … 続きを読む

しゃべることと書くことは同じではなかった

noteはnoteでも、Speechnotesと(スピーチ・ノート)言うPCでもスマホでも動くソフトがあるのだが、つい最近になって初めて試してみることにした。 いま流行りの「音声文字起こし」専用ソフトである。 スマホでA … 続きを読む