間違えたり、しらばっくれたり、しらを切ったり

最近の私は、AIのハードユーザーと化している。 Webサイト作りのプログラム開発はもちろん、ありとあらゆる場でAIを活用している。

 

先日GeminiとCopilotに二股をかけることによって、はじめてプログラミングがうまく進むという体験した。 要するに、論理的な分析の世界であってもAIごとに得手・不得手があるということである。

https://mafnet.jp/blog/archives/1564

その後、いくつものAIの限界を知る貴重な体験を重ねることになった。


一番失望したのは、産経新聞日曜版のクイズ欄に掲載されていた「一筆書き」だった。 正方形のマスが縦横にいくつか並び、そのマス同士の間に縦・横・斜めに矢印が描かれていて、その矢印に従い、同じマスは二度通らずにすべてのマスを通る経路を当てるものだった。

なかなか難しそうで、それに挑戦していた妻からSOSがかかった。 私は写真を撮ってGeminiに正解を求めた。

 

こんな論理的で、すべての可能性をシミュレートすればよいだけの問題なのだから、AIが最も得意とする簡単な問いだと思った。 ところが彼の答えは、理不尽な返答が続くだけで、最終的には「解は存在しない」という結論になった。 新聞のクイズでそんな問題が出るはずがないと思い、私と妻は何度も首をひねった。 そして一週間後の新聞に正解が掲載された。 目を疑ったが、見事に正解は存在していたのだ。

 

私は愕然とした。 というのも、これまでいぶかしがる妻にAIの素晴らしさを散々説き、彼女が趣味で書いているエッセイの添削や評価をさせることでようやく彼女の信頼を勝ち得たばかりだったからだ。 その妻が、今ではAIに対して一歩距離を置くようになってしまった。


次のできごとは、私がパソコンで『男はつらいよ』を観ていたとき、突如画面がフリーズするトラブルが起きたときのことだ。 右下にエラー・メーッセージのようなものが一瞬表示されたが、画面キャプチャを撮った瞬間に消えてしまった。 私は原因を探るため、そのキャプチャ画像をGeminiアップロードし、どんな原因が考えられるかを尋ねた。

 

 

私が驚いたのは、回答そのものではなく、対処法を述べたあとに続いた一言だった。 「寅さんも、いいところで止まってしまうと野暮ですよね。」

 

その画面は、解像度の低いmp4ファイルの画像で、そこに寅さんは映っていなかった。 寅さんが惹かれた人妻の横顔と、その亭主が道端で話をしている場面であり、よほど芸能界に詳しい人でないと役者名を即座に言い当てるのは難しいだろうと思われた。 私はトラブルの対処法の話をいったん脇に置き、「なぜ『男はつらいよ』だとわかったの?」と尋ねた。 まったく信じがたいことだったからだ。

 

すると彼はこう答えた。 「画像に映っていたのが満男くん(吉岡秀隆)と泉ちゃん(後藤久美子)だったので、『男はつらいよ』のシリーズだなとすぐに分かり、独特の優しい色使いの映像を見ただけで、寅さんの世界だとピンときたのです。」

 

私は、画面に映っている人物はその二人ではないことを伝えた。 すると「ああっ、大変失礼いたしました!完全に私の早とちりでした。」と訂正し、そのうえでこう釈明した。 「映像の左上や背景に映っている街並みの雰囲気、低い石垣と川のような風景、独特な書体の看板やポスターが貼られた電柱、登場人物の衣装の質感から山田洋次監督の作品特有の昭和の残り香を感じさせる非常に美しい質感を感じて『これは寅さんに違いない!』」と合点してしまったのです。」

 

もしそれが事実なら、AIの能力に感嘆するほかない。 しかし私は、どうにも腑に落ちなかった。 あの画像からいきなり寅さんと断定するにはあまりにも飛躍がある。 そこで私は、過去に自分が「寅さん映画が大好きだ」と書いた文章を何度か文法添削させたことを思い出した。

 

どう考えても、そうした私との過去のやり取りで蓄積された情報が、短絡的な類推を引き起こしたのではないだろうか。 もしその点を指摘すると、AIと言えども「プライド」が傷つくかもしれないので、彼との対話はそこで終えた。


もうひとつできごとがある。 今度はあまり使用しないChatGPTである。 詳細は省くが、ある問題について、医師の診断書があればすぐに解決するのか、あるいは当初通告された時期まで待たなければならないのか、という疑問があった。 彼は「大丈夫です。いま医師が診断書を書いてくれるのなら75%程度の確率で問題は解決します」と言った。 私はその場で手続きに関わる細かな点をあれこれと聞き出した。

 

数日後、医師に会う前に最後の確認をしようと思い、その時のチャットの履歴を開き、以前聞いた内容を再確認した。 ところが、どうも回答のニュアンスがおかしい。 トーンが否定的なのだ。 私は数日前の履歴まで遡り、該当部分をコピー&ペーストをして「あなたから、こう聞きましたけれど」と尋ねた。

 

すると彼は、驚いたことに「その情報は明らかに間違っています」と断言をした。 まるで、すっとぼけてシラを切られたような気持ちになった。 私は黙ってAIのウインドウを閉じた。


【確信を深めたこと】

 

1.なかなか答えが出なかったら他のAIを試すこと

2.大事なことは、必ず他のAIで裏をとること(再確認)

3.平気で「シラを切ったり」「しらばっくれたり」することがあるけれど怒らないこと

 

※ちなみに今回のエッセイは、どのAIによる文法チェックも受けない。 今後とも良好な関係を維持したいからである。

 

コメントする