しゃべることと書くことは同じではなかった

noteはnoteでも、Speechnotesと(スピーチ・ノート)言うPCでもスマホでも動くソフトがあるのだが、つい最近になって初めて試してみることにした。 いま流行りの「音声文字起こし」専用ソフトである。 スマホでAIに質問する際には便利なのでマイク・アイコンをタップして音声入力していたが、パソコンで画面いっぱいに広がったWordのような大きな画面に文字起こしできるというのは、新しい経験だった。

 

デスクトップPCの場合はUSBマイクが必要になるが、千円もしないで買える。 試してみて、文字起こしの正確さや文章を整形するための操作性などがとてもよくできていて感心した。 かなり適当に早くしゃべっても、ほとんど間違いなく聴き取ってくれて、次々に画面に文字を出力してくれる。

 

特に感心したのは、入力言語の切り替えができ、その言語数も百ヵ国語ほど選択できる点だ。 試しに韓国語に切り替えて適当にしゃべって見ると、ハングル文字が次々に並んで画面が埋まっていく。 当然のことなのだろうが、私はあんなに早くハングル文字をキーボード変換で入力できるわけではないので、その結果に小躍りしてしまった。 ついでにスペイン語に切り替えて話してみると、懐かしいスペイン語の文章がずらずらと並んで出てきて、また小躍りした。

 

パソコンの前で椅子のリクライニングを倒し、寝ながらしゃべってみても、画面は当然のように日本語で埋まっていく。 キーボードにしがみつかなくてよいと言うのは実に快感である。 特に最近の私のように、右手が不自由で人差し指と中指の二本しかキー入力に使えない者にとっては、その存在価値は大きいと感じた。

 

このSpeechnoteの素晴らしいところは、文字起こし中に文案を考えるため音声入力がどれだけ途切れても、待っていてくれる点だ。 例えば、Word の画面で「Windowsキー + H」を押せばWindows11の標準機能の文字起こしが立ち上がり、音声入力で文章を書かせることができる。 しかしこれは極めて気が短く、少し考えていると機能がOFFになってしまう。 その点Speechnotesはとことん付き合って待ってくれるので、エッセイ執筆には最適なのではと思った。

 

ところが実際に試してみたら、のっけから壁に当たった。 しゃべりながらでは深く考える事ができないのだ。 頭で考えて書くことと、口でしゃべることは同じではない。 文章を書くとき、その内容がしっかり固まっていて、頭の中から口へすらすらと出てくることはまずない。 実際にはキーボードを打つなり、スマホの文字入力画面を操作しながら、書いた文字列を良く見て考えを整理しつつ文章を作っていると思う。 しゃべってエッセイは書けないことを思い知った。

 

ただ、このSpeechnotesが、まったくエッセイ書きに役に立たないわけではなく、有効な使い道はありそうだ。 完成品としての文章は書けなくても、エッセイの構想段階でメモ代わりに要点などをランダムに書き残しておけば、その後での文章化にはかなり役に立ちそうである。 リクライニングシートを倒して瞑想をしながら、頭をよぎったことを口にすればいい。 そこで書き出したメモはきっと役に立つだろうと思う。

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