燃え盛る季節の後で

私の人生には、「ほどほど」という加減がなかった。 ひとたび火がつけば、空の雲を焦がすほどに燃え盛る。 学生時代から、やると決めたことには全エネルギーを注ぎ込み、我を忘れて未知の世界へ突き進んできた。   その異常なまでの … 続きを読む

もう送らないと決めたラブレター ―― 山田洋次監督へ

『男はつらいよ』の感想文の形となったエッセイを、私は印刷して山田洋次監督宛てにファンレターと共に送った。 どうしても私の感動を伝えたかったのだ。   深掘り『男はつらいよ』 ― 寅さん映画の神髄とは   しかし、投函した … 続きを読む

商店街を練り歩く昭和の音楽隊 ― ちんどん屋

テレビでサン・サーンスのクラリネット・ソナタが流れていた。 軽やかに転がり出るような音色を聴いているうちに、七十年近く前の記憶がふっと浮かんだ。 子どもの頃、街角でよく見かけた「ちんどん屋」の華やかな姿である。   ちん … 続きを読む

人生に描く、自分の美学

昔の映画を観ていると、懐かしい俳優のかつての姿を見ることができるが、次の瞬間、必ず頭をかすめるのが「この人まだ生きているのだろうか」という思いである。   映画『男はつらいよ』は、二十七年間、同じ俳優が同じ役を演じ続けた … 続きを読む

人は何に心を奪われるのか

芸術の世界にあるものは、観る者の嗜好によってその評価が大きく左右される。 そしてよく観察すると、そもそもその対象に対する「着目点」そのものが、人によってまったく異なっていることに気づく。   例えば映画であれば、 「登場 … 続きを読む

涎が垂れる昭和レトロ

『男はつらいよ』を観ていて、涎が垂れそうになる場面がふたつある。 ひとつは、タコ社長やおいちゃんが実にうまそうに吸うたばこだ。 私はもう何年も前に禁煙し、普段はそのことをすっかり忘れているのに、人が美味しそうに吸っている … 続きを読む

昭和レトロが語るアナログの価値

何と言っても『男はつらいよ』に出てくるシーンは、すべて昭和レトロそのものだ。 あの映画をみて懐かしさを覚えるのは、昭和を生きてきた世代だろう。 しかし近年の昭和レトロ・ブームを眺めていると、その懐かしさが昭和を知らない世 … 続きを読む

深掘り『男はつらいよ』 ― 寅さん映画の神髄とは

  1.はじめに   主に昭和の時代に制作されたこの映画は、過去のものとなりつつあり、昭和生まれの私には慣れ親しんできた物語であっても、今の若い人たちには馴染みが薄いだろう。   今の時代は不寛容であり、人間関係は希薄化 … 続きを読む

心の中に飾る錦

『男はつらいよ』の第七作「奮闘篇」には、三十数年ぶりに寅を産んだ母が葛飾柴又のとらやを訪ねる場面がある。 寅さんは、とらやの主人の兄が芸者に産ませた子であり、その母という人は、寅さんを母として育てたことのない女性だった。 … 続きを読む

ひとつの事を生涯やり通す偉人たち

私は映画「男はつらいよ」の寅さんが大好きだ。 もう何十年もファンで、シリーズ全50作はすべてPCのハードディスクにおさまっていて、すぐに観る事ができる。 もう何回観たか数え切れない。 エクセルで作った全作品のデータベース … 続きを読む