自分にしか残せないもの ― 私の人生をつくった、ただ一つの原理

大河ドラマ「豊臣兄弟!」を観ていたら、秀吉の母が秀吉の弟である秀長に「自分にしかできない事をやりなさい」と言って兄秀吉の右腕となるようにハッパを掛けるシーンがあった。   私は「いいことを言うなぁ」と思うと同時に「自分に … 続きを読む

趣味という語は、私の人生の重さに耐えられない

私は「趣味」ということばに、どこか抵抗を感じている。 本来やるべきものから外れた「生産性のない娯楽」という響きがあり、どうにも馴染めない。   「世の中でどのように定義されているのか」と思い、ネット検索や辞書、各種AIで … 続きを読む

「残そうとして歩いた時間」そのものが私の人生

人はいつか死に、そしていつか忘れ去られる。 それでも私は、この世に何かしらの「形」を残したいと思っている。 それは名誉でも評価でもなく、ただ「生きていた」という微かな痕跡のようなものだ。   形とは、必ずしも目に見えて重 … 続きを読む

「後悔しないで済んだと言いきれますか?」

私が大好きでたまらない映画『男はつらいよ』第17作に出てくる場面の一つだ。 自分の故郷である兵庫県たつの市を訪れた、宇野重吉さん演じる池ノ内青観という老画伯が、若い頃に縁のあった岡田嘉子さん演じるお志津さんと再会するシー … 続きを読む

一声かける勇気

日本人の文化にはある種の閉鎖的な側面がある。 特に、周囲の人とのちょっとした関わり方にそれが表れる。   毎朝、夫婦で散歩をしている。 左手にはレジ袋、右手にはトング。 一目でゴミ拾いをしているとわかる格好だ。 始めたば … 続きを読む

「心のアルバム」に浮かぶ一番好きな姿

久しぶりのかつての同僚に年賀状を出したら、返事のはがきが送られてきた。 珍しい名字なので、ちらりと見ただけで彼からだと分かった。 しかしよく見ると名字に続けて書いてある名前が違い、しかも女性の名前だった。 ドキッとしては … 続きを読む

性癖がつくる人生 ― 選択の源にあるもの

過去を振り返り、「あの時あんなことをしなかったら、その後の人生は変わったものになっていたに違いない。」と思う事はないだろうか。 しかし、もしあの時の選択をやり直せたとしたら、人生は本当に変わっていただろうか。   人生が … 続きを読む

スマホが目覚めさせた、眠れるフォトグラファーたち

スマートフォンの先駆けであるiPhoneが登場したのは2007年だった。 それから十数年、早くも2010年代の後半にはスマホは当たり前の存在になっていた。 今では世界人口の80%以上が所有しているという統計もある。 世界 … 続きを読む

急ぐ夜明けの向こうへ

学生時代の若かった頃、夜遊びに胸をときめかせた。 周りの大人たちが一日の役目を終えて家路についたり、夜の街で笑って過ごしていたり、家でくつろいでいたりする。 昼間の緊張感がすっと消えた後に訪れる夜の世界は、学生の自分たち … 続きを読む

もう走れない身体で、まだ走りたい心で ― 今だから見える景色

上り坂を、リュックサックを背負った若者が軽やかに駆け上がっていった。 「ホッ、ホッ、ホッ、ホッ」と気持ちよさそうに、まるで箱根駅伝の往路を走る選手のように、一定のリズムで身体を前へと運んでいく。 私を追い越してだんだん小 … 続きを読む

こころの創作にAIを使ってはならない

ちまたで広く使われてAIが出来る事にすべて頼ってしまっていいのだろうか。 少なからず半信半疑の気持ちでいる人は多いのではないかと思う。   私は当初AIなるものを毛嫌いして、ブツブツ言いながらいじくりまわしていた。 その … 続きを読む

標準語という私の「方言」

標準語とは、いったいどういう存在なのだろうか。   南風に乗る優しい声 ― 九州  私は東京で育ち、自然と標準語を身につけてきた。 父は大分、母は博多の出身で、家の中にはいつも九州の言葉が飛び交っていた。 とはいえ、外で … 続きを読む

憧れのあの国は何処へ ― 崩れゆく理想と私の記憶

今朝のニュースを知った瞬間、胸の奥がざわついた。 こんな感覚に襲われたのは、生まれて初めてかもしれない。   過去一年にわたり世界を騒がせてきた、かつて民主主義世界の盟主と呼ばれたあの国の大統領が、デンマーク領グリーンラ … 続きを読む

「と思っていてぇ〜」という時代

最近、街中やテレビで耳にする言葉遣いの中に、どうにも気になる表現がある。「〜と思っていてぇ〜」という、語尾を伸ばしながら自分の意見を“途中経過”のように提示する話し方だ。 本来なら「○○と思っている。そして△△だ」と二つ … 続きを読む

見えていなかった恵み

人から「あなたは恵まれているのか」と問われれば、私はおそらく余計な贅沢は言わず、謙虚に「恵まれている」と答えるだろう。 それは、多くの人が「上流か下流か」と聞かれたとき、「中流です」と答えるのに似ている。 しかし実際の私 … 続きを読む

憧れは夢になり、燃えカスだけが残った

人は誰でも、心のどこかに憧れを抱いて生きている。 自分の手の届かない場所にある何かが、ひときわ輝いて見える瞬間がある。 それは人であったり、物であったり、環境であったりする。 憧れとは、遠さゆえに美しく、淡さゆえに強い感 … 続きを読む

技術の世界を生きた者が、言葉の小径を歩き出す

毎日noteでのエッセイ執筆に熱中して来たおかげで、TVを観ていても出演者の言葉の慣用的誤用、文法上の間違いが凄く気になる様になってしまった。 毎朝ゴミ拾いをしていると、ほかの用事で道路を歩いている時でも、車に乗って走っ … 続きを読む

絶海の孤島 ― 銀河が降り注ぐ日本の楽園

私が訪れた国内外で、いつも私が心を惹かれた場所は「島」だった。   人生で最初に訪れた島は伊豆七島の八丈島だった。 東京竹芝桟橋を夜中発の東海汽船に揺られて翌朝10時ころ到着した。 道中海は大荒れで船酔いで気持ち悪くなり … 続きを読む

心に染みる神のまなざし、仏の教え

海外に旅行すると、教会や大聖堂、モスクや寺院と言った各国の文化を形成する宗教ごとに礼拝を行う場があり、そこには多くの国民が日常的に訪れてお祈りをしている。 それに較べて今の日本人は、日常生活で神仏への信仰に関わる事は極め … 続きを読む

夢が想い出へと変わるとき ― 恥じない足跡へ

仕事に振り回されていた頃は、休みが欲しい、自由な時間が欲しいと思いながら必死に働いていた。 寸暇を惜しんで仕事に没頭する仕事にすべてを掛けて生きる人もいると思うが、私はいつも「次に挑戦する自分の休日のプロジェクト」の事で … 続きを読む

六つの声調が育てる感性 ― ベトナム人が歌う日本語の美しさ

TVでベトナム人の日本留学経験者たちを紹介する番組があった。 驚いたのは彼らの歌のうまさだった。 彼らは日本で日本の歌の魅力にとりつかれ、帰国後も日本の歌を歌い続けているとの事だ。 声の綺麗さにまず惹きつけられたが、聴い … 続きを読む

飲んだくれた、あの頃は何処へ ― QRコードの酒場で

先日は永年のアマチュア無線の友人3人と市内の居酒屋で忘年会を楽しんだ。 サラリーマンを辞めてからと言う物、酒を飲む機会は劇的に減った。 あの頃は、職場のあった都内から自宅まで通勤電車でたっぷり1時間半はかかるので、終業後 … 続きを読む

振り返ると書けない事ばかり

私のここでのエッセイの基本コンセプトは「過ちだらけの人生を振り返って」だ。 既に145話ほど公開したが、私としてはずっと続けて行きたいと思っている。 しかし最近は戸惑う事が増えた。 人生を振り返ったはいいが、あまりにも「 … 続きを読む

家庭内役割分担でともる、平等と言う灯り

私が若かった頃と較べると、今の時代の夫婦の役割分担は全く変わってしまった。 昭和の時代は、夫は外で仕事、妻は家で家事とはっきりと「分業」されていた。   世の中を変えた一番の背景は、「女性の社会進出」であったのは言うまで … 続きを読む

「世界一複雑な文字」漢字文化を守るために

今年の印刷した年賀状に、手書き文字でひとことメッセージを書くのにえらい苦労をした。 まず第一にとにかく字が汚い。 大きさも向きも揃わないし見るに堪えないのだ。 おまけに漢字が書けないのには参った。 仕方ないのでパソコンの … 続きを読む

記憶の手を握りしめて ― 老いと愛のあいだにある散歩道

毎朝の散歩で以前からちょくちょくすれ違う散歩中の高齢のご夫婦がいた。  ご主人がいつも隣の奥さんの手を握って仲良く歩いている姿がとても羨ましく見えた。 いつしかお互いに声を掛け合う様になり、ちょっとした立ち話もする様にな … 続きを読む

エクセルで一生を俯瞰する ― 壁面の人生年表

私はA3の用紙を縦にして、エクセルを使った詳細な「人生年表」と言う物を作っている。 縦軸は年だ。 私の生まれた1952年から2037年まで85年間で調度縦軸が一杯になる。 生まれてからの年表なので0歳から85歳までをカバ … 続きを読む

継承を求めてやって来た40歳年下のヒーロー

先日、縁あって私よりちょうど調度40歳年下の青年と会った。 私がかつてタイムラプス撮影の個人事業を行っていた時に開発した「長期タイムラプス遠隔撮影システム」の撮影装置と技術を伝承させて欲しいと、はるばる遠方の地方都市から … 続きを読む

すべては、あの出逢いのおかげだった ― 新しい撮影システムの誕生

私の現役最後の13年間続けたタイムラプス撮影の個人事業は、私の永年の趣味で培ってきた色々な技術とノウハウを活かせる舞台となり、後半の数年間は「長期タイムラプス遠隔撮影システム」を開発して、全国各地で活躍の舞台を与えられた … 続きを読む