先日、縁あって私よりちょうど調度40歳年下の青年と会った。 私がかつてタイムラプス撮影の個人事業を行っていた時に開発した「長期タイムラプス遠隔撮影システム」の撮影装置と技術を伝承させて欲しいと、はるばる遠方の地方都市から訪ねて来た青年であった。 彼は映像制作会社の社長であった。
一目見て明るく良い人柄が伝わって来て、私は大歓迎をして迎えた。 彼は家庭環境に恵まれず、中学も満足に卒業出来ないまま、肉体労働をしながら英語だけは独学で学んだそうだ。 21歳の時、カメラ一つで写真撮影をする個人事業を始め、やっと貯めた僅かな金を資本金にして法人会社を立ち上げて、地道に活動を続け、今では社員も抱えた撮影・映像制作会社になったそうだ。 会社のHPを拝見すると、立派な事業活動を行っている様子が大変良くわかる。
話をしていれば相手の人柄や人間性や知性と言う物は伝わって来る物だ。 彼はそのどの点においても私を驚かせた。 一言で言って素晴らしい好人物だった。
私は彼の年齢が34歳と聞いて更にびっくりした。 私より40歳も若い青年だ。 私の息子よりも10歳近く若い。 私は自分が34歳の時に何をしていたか思い返した。 会社から派遣されたスペインでの留学から帰国した直後で、私はスペインですっかり染まったラテンの世界に浮かれたままで、「仕事人間には絶対なるまい」と思い上がった決心をした、大企業の傘の下で甘ったれた考えに浸った「不良会社員」だった。
私は、その青年が肉体労働をしながら苦労だらけの生活をしていた年齢の時を、何の苦労もなく高校に通わせて貰い大学にも進学させて貰っていた。 私が趣味とアルバイトに暮れた日々を過ごした「不良大学生」時代に、彼は既に法人会社を立ち上げて社長としてスタートを切っていたのだ。
私は彼が羨ましかった。 そして自分が少し恥ずかしかった。 私より遥かに恵まれない青春時代を過ごしたのに、私がまだ遊び暮らしていた年齢に、遥かに立派に社会に踏み出して挑戦を始めていたのだ。 私より40歳も若い尊敬すべき輝いた人物だと思った。 この青年社長には無限の将来が待っていると確信した。
私は、こんな彼に私が開発した技術の継承ができるのはとても嬉しいと思った。 彼が起業してから今日までの年数は、私が同じく個人事業を起業して半年前に廃業するまでの年数とたまたま同じだった。 他人とは思えない何かを感じさせる出逢いだった。 私の仕事の締めくくりとして、精一杯支えて行ってあげようと思った。
その後、彼から一本の動画ファイルが送られて来た。 ミャンマー人の彼女との交際一周年記念に作ったと言う1分30秒の素晴らしいセンス溢れる作品で、素敵な彼女の明るさと純朴さが伝わって来る物だった。 彼は二年程前に、地元にある大学に留学していたミャンマー人の彼女と知り合ったそうだ。 当初から私がミャンマーを5千キロ走破して撮影したタイムラプス作品を二人で見て、感激してくれていたそうだ。
その送られて来た動画を観ただけでどれだけ素敵な女性で、二人がどれだけ今幸せかが伝わって来た。 私はミャンマー人の女の子の心の綺麗さは良く知っていたので、苦労して生きて来た彼に、神様がご褒美に彼女との出逢いをさせてくれたに違いないと思った。
https://mafnet.jp/blog/archives/391
(『きれいな心の少女たち』ミャンマーの少女たちの心の綺麗さに触れた体験)
私が34歳の時に、40歳年上の人を見たと言う記憶はない。 自分の生きている世界の外の存在だった。 だからそれから40年経った自分を想像する事など到底出来なかったと思う。 しかし必ずその時は、やって来る。
あの頃の私から今までの時間があっと言う間に経過したように、彼もあっと言う間にいつか自分を振り返る事になるだろう。 そしてその時には、誰にも負けない大きな充足感に満たされた幸せを嚙みしめる事になると信じて止まない。