老いの境界線を見つめる ―― 自覚できないその「始まり」

認知症状のある一人暮らしの高齢者を狙った詐欺犯罪が後を絶たない。自分の親や祖父母ほどの年齢の人々を騙し、金をむしり取ることに何のためらいも覚えない者たちは、もはや人間の屑と呼ぶほかない。そして被害者の立場に立てば、なぜあ … 続きを読む

鏡の中の役割の消えた顔

「生きざまは顔に出る」と言われ、「四十歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」とも言われてきた。 しかし私は、その言葉を正面から受け止めて生きてきたわけではない。人に何か言われれば気にすることはあるものの、それで自分の生き方を … 続きを読む

背中を見送る散歩道

だらだらと続く登り坂を、「もう少し」と自分を励ましながら歩いていると、後ろから軽快な足音が近づいてくる。   道路の端に寄って道を譲ると、あっと言う間に追い抜かれた。 上がった息の音すら聞こえない。 その背中はみるみる小 … 続きを読む

坂道であることを受け入れる三十年

歳を取るにつれて身体は徐々に衰え、どこかに不具合が出てくる。 まわりを見ていると、還暦を過ぎたあたりからその傾向は一気に強まるようだ。   私の場合は、六十歳を過ぎた頃はまだ健康上の不都合も懸念もなかった。  現役そのも … 続きを読む