ゴミ拾い

何ヶ月か前に、毎朝散歩を兼ねて小一時間、近所のゴミ拾いを始めた。 散歩自体はかなり以前からやっていたが、近所の年配の方が以前からゴミ拾いを熱心にやっておられるのを見て、自分もやってみようと思った。

 

それを後押ししたのは言うまでもなく、自分の人生を振り返っての反省である。 自分の都合ばかり優先して周りの人を利用する事ばかり考えて、公徳心から程遠い生き方をして来た過去をやっと恥じるようになり、本当に僅かではあるが、少しでも償いになる亊をしたいと思うようになった事だった。

 

始めは小さなレジ袋を携えて始めたのだが、何日も続けている内にゴミのありそうな道の選び方とか、ゴミの見つけ方とかが分かって来て、「収穫」は日増しに増えて来た。

 

多いゴミのNo.1はなんと言ってもタバコの吸い殻である。 特に通勤路、それも駅の近くはひどい有様だ。 自分が昔、道路を歩きながらタバコを吸って吸い殻を平気でポイ捨てしていた事、車を運転しながら、窓の外は灰皿だと豪語しながら平気で投げ捨てていた事を思い出す。 声を出しながら腰をかがめてタバコを1本1本拾う度に、自分の愚かな過去を思い知り償う思いだ。

 

ある日、いつもと違う道を歩いたら、ある場所がタバコの吸い殻だらけで数十本も散乱していた。 近くに大衆飲食店がある。 腹を一杯にした客がまずタバコを一服して吸い殻を捨てる所だと思われた。 「良くわかるよ、その気持ち」と思いながら狭いエリアで何十回も腰をかがめて拾っている内に、激痛が腰に走った。 這うようにして家まで帰ったが幸い大事には至らなかった。 こりゃ無理もない、とその日のうちにホームセンターに行ってトングを買って来た。 これでゴミ拾いは革命的に楽になった。

 

タバコ以外にもゴミはたくさんある。 マスクや手袋、ティッシュやタバコやお菓子の箱や袋、カップラーメンの容器、更にペットボトルやジュースやビールの缶や瓶まで何でもある。 いつの間にかペットボトルやジュースの缶や瓶を見つけると「おお!大物ゲット!」と喜ぶようになって、一緒に歩いている妻と必死になって「漁」を楽しむ様になっていた。 大きなレジ袋がゴミでパンパンになって家路に着く時は「今日は大漁だ!」と達成感で一杯、幸せな気分を味わうようになっていた。

 

義務感に近い思いで始めたゴミ拾いが、今や毎日欠かせない楽しみに変わっていた。 たまにすれ違う人の中には「ご苦労様です」と声をかけてくれる人もいる。 全然苦労ではないんだけれど笑い顔で会釈を返す。 心の中では「真似しないでね。獲物が減るから!」と叫んでいる。

 

小さなことだけど世の中の為にはなっている。 ゴミ拾い以外にも世の中の為にできる事はきっとたくさんあるだろう。 それらはきっと辛く大変な事ではなく、神様はやりがいと喜びを与えてくれるに違いない。

 

 

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