夢の職業をめざして

誰でも「こう言う仕事をしたい」と言う夢を持った事はあるだろう。 めでたくその夢を果たせた人は本当に幸せだと思う。 果たせなかった人は、来世にその夢を果たすべく心の中でしっかりと温めておけば、きっと思いはつながると思っている。

 

私は仕事の夢を今世で果たす事はできなかった。 大体夢を抱いたのが遅すぎたのだ。 だけど今世では諦めても、来世の為に強く・熱くその思いを胸のなかで燃やし、大事にして来た。 念ずれば必ずや花開くと信じている。 来世が近づきつつある今、その思いを新たにしている。

 

私の場合、幼稚園の卒園記念に録音されたSPレコードがあって、園児が一人ずつ言葉にした将来の夢が聴ける。 「ぼくは、おおきくなったらパトロールカーのうんてんしゅになりたいです!」と元気良く言ったのが私の最初の夢だった。

 

その後小学校高学年の時には漠然と「科学者」になりたいと思っていた。

 

中学生になると東京郊外の三鷹市にあった東京天文台で研究する「天文学者」になりたいと思うようになった。 どうしても天文台をこの目で見たくて、当時の自宅から16Km先にある東京天文台まで歩いて見学に行った。 構内の木の下で座り、持って行ったおにぎりを食べながらそこでの研究を夢見ていたら、天文台の職員が「ここは立入り禁止だからおにぎりを食べ終わったら帰りなさい」と優しく注意してくれた懐かしい思い出がある。

 

高校生からは仕事を離れた世界に描いた夢に惹かれるようになり、仕事に対する熱い夢はなりを潜めたまま出逢った会社で社会人になった。 具体的な職業に関する夢はしばらく途絶えたが、社会人としてやっと落ち着いて来た40代になってから、以前から興味があった飛行機へ思いが深まり始めていつの間にか航空ファンになった。

 

そんな私を知った友人のつてで、ある航空会社のBoeing747 ジャンボ・ジェットの訓練用フライト・シミュレーターを体験させて貰った事で、気持ちはにわかにヒート・アップした。

 

Boeing 747 ジャンボ・ジェットの訓練用フライト・シミュレーター

 

そしてこんど生まれ変わったら、絶対に「国際線のジャンボ旅客機のパイロット」になると固く決意するようになった。 その時にお世話になった教官パイロットのお人柄、心の広さ・優しさに、巨大ジェット旅客機を飛ばしているのは、単なる優秀な操縦技術ではなく、この心の大きさだったんだと、と感動した事が大きかった。

 

この思いは強固で、その時以来、今世でできる準備はやるんだと決めて、まず戦後の世界の航空機事故の詳細を調べ、分析する事を始めた。 BS放送のナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで何年間も連載で放送されている航空機事故紹介番組「メーデー!」の番組動画を、あの手この手で200本以上集めて詳しく事故の要因を研究した。

 

当時作成した資料を見ると、212件の航空機事故の詳細と原因を分析していたようだ。 また航空管制の勉強を始めて、航空無線受信用の設備を揃えて、羽田空港や成田空港の離発着陸管制無線や、東日本の航空路管制無線を聞き入った。

 

更に夢は広がり日本とアメリカ大陸の太平洋を洋上飛行する国際航空路管制無線を聞くために短波帯の受信設備を揃えた。 今では衛星通信があるので、いつでも航空機と地上は無線でつながるが、当時は不安定で時として雑音に埋もれる短波帯無線通信を、時間帯と通信距離に適した周波数に切り替えながら使っていたので受信していても、たまらないノスタルジアを感じたものだ。

 

そうやって、私はいつ事故でポックリ死んでいきなり来世で生まれ変わる事になっても困らないように、今できる準備に熱中した。 まぁ、かなりの変わり者だ。

 

あれから30年近く経った今もその思いは心の中にそっと残されている。 以下は、私の趣味のホームページにある航空機フォーラムに残した、看板メッセージだ。 今からちょうど30年前の記述だ。

 

航空機のファンはたくさんいらっしゃると思いますが、私もその一人です。 私が最初航空機に惹かれたのは、学生時代始めて航空機に乗った時(アメリカへの一人旅で乗ったJALのボーイング747)に雲の上の世界を見た時でした。

地上ではどんよりと曇った憂鬱な天気であるにも拘らず 4万フィートの上空は今まで見たこともない程どこまでも澄み切ったまぶしいばかりの青空です。  地上が嵐であろうと何であろうと、あの冬のアラスカの、人っこひとりいないポーテージ氷河で見た 恐ろしい程澄み切って青さを通り越して紫にも見える様な空が広がり、人間界の醜さの全てを忘れて超越している様な、気の遠くなる様な世界が、そこには太古の昔から繰り広げられているのです。

この気の遠くなるような世界で、気の遠くなる様な厳しい自然に、強力な原動機を抱え、無線とコンピューターを駆使して悠然と立ち向かって行く大型ジェット旅客機は、まさに私のあこがれの男のロマンの世界です。 原動機(車)を愛し、無線(アマチュア無線)を愛し、コンピューター(パソコ ン)を愛し、そしていつも人生にロマンを追い求めて生きて来た私その物の、あこがれの姿がそこに あります。

今度生まれて来る時には、迷わず国際線のエアライン・パイロットになるのだと、固く心に誓っています。 そしてその為の研究と勉強と訓練を今から日々重ねている私の馬鹿馬鹿しさは、私の情熱その物です。

(私の趣味のホームページ「MAFNET」の航空機フォーラムから)

 

 

どうせ棺桶に入るのなら、夢を一杯抱いたまま入りたいと思う。 人それぞれに色々な夢があるだろう。 「なりたくても実現できなかった職業」なんて結構大きなテーマだ。 夢の候補に入れてみたらどうだろうか。

 

 

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