最近は本当に外国人を多く見るようになった。 以前は仕事で来日し滞在している外国人が多く、見かける場所は都心が多かった。 その後、東南アジアを中心に出稼ぎに来る若者が増え、場所は限られていたが全国の地方都市に滞在している姿を見かけるようになった。
今では国内どこに行っても見かけるようになって、私が居住している何も特色のない首都圏近郊都市でも良く見かける。 仕事先がひとときの娯楽業から農業や製造業など経済活動に関わる分野にシフトして来た。 彼らの出身国の多くは開発途上国である場合が多く、就業ビザが切れても出来るだけ残って暮らそうとする人が後を絶たない。
しかし彼らの中には、本当に日本が好きになり日本で暮らしたいと考えている人も沢山いるようだ。 また開発途上国だけでなく、先進国からも日本の文化をどこかで知り、憧れて来日している人にも良く出会う。 独身者である場合は日本人と結婚して、日本にしっかりと根を下ろしている人も見かける。
反対に、海外に出て行く日本人にもたくさんいる。 私が滞在していたスペインにも、色々な形で根を下ろしている日本人に出会った。 日本から留学したまま帰国せずにすっかりスペインを気に入って10年も20年も滞在している人もいた。 もちろんビザの関係もあるので、多くは現地の人と結婚をする事になった人達だ。
根を下ろさずとも、憧れて短期間でもビザが許す限り滞在して行く日本人はヨーロッパ各国で見かけた。
日本人は外国に憧れて外国を訪れ、外国の人は日本に憧れて日本を訪れるのはお互いの人生経験を豊かにできる素晴らしい事だと思う。 異文化や異なる常識の世界では新たに学べる事が本当に多いからだ。
ただ、同じ外国に憧れていてその地を踏んでも、そのやり方や目的によっては相手国に大きな問題を引き起こしている場合がある。 最近米国やヨーロッパで問題として取り上げられている不法移民だ。 米国の場合は、南に隣接したメキシコを始め更に南の中米諸国など経済的に生活が苦しい国々からの不法移民が後を絶たず、膨大な人数に及んでいる。 ヨーロッパの場合はやはり南の地中海を超えたアフリカ諸国からの不法移民が絶えない。
彼らの場合は異文化への憧れと言うよりか、豊かな生活への憧れであり、それも夢と言うよりか、生きるか死ぬかの命をかけた最後の選択肢だ。 これはその地域の天候に関わる問題や長い歴史的な経緯があって、同じ地球上で極端な経済発展の不均衡が生じてしまった事が原因だ。
例えとしてはちょっと失礼だが、木の実が不作になれば熊も里に下りて来る。 みんな生きるのに必死なのだから仕方ない。 それを移民は受け入れないと言って、里に下りて来た熊を餌の無い山へ追い返し飢え死にさせるのと同じだ。 出逢えば100%人を襲う猛獣の熊に対しては、仕方ないかもしれないが、人間の場合はそうは行かない。
貧しい移民が押し寄せた国では犯罪は増えるし迷惑千万ではあるが、これは人類全体の問題として、すべての先進国国民がなんとか知恵を絞って状況を改善する努力をしなければならない。 無尽蔵に移民を受け入れたら国の社会が破壊されるのなら、何らかの形で協力して経済的支援をするなどの方策を考えなければならない。
既に国際的な貧しい国々の支援を行う支援団体は幾つもあって、熱心な活動が続けられている。 各国政府からの拠出金や個人・団体からの寄付金などで運営されているが、全く追いついていない。 人口増加率は避妊の問題もあり、経済的に未発達な国で増加傾向が続いている一方、先進国では低下傾向が続き人口も減少しつつある。 この状況が更に解決を困難にしている。
経済発展の度合いには差があるにせよ、同じ先進国間だけを自由で平和に行き来している人達には、毎日貧困生活を耐え抜いている国々の人達の事は目に入らない様だ。 逆に先進国の人達が貧困に喘いでいる国々を訪れ、敬意も問題意識も深める事なく、まるで高みの見物をするかのように贅沢な旅をして楽しんでいる姿を見ると、同じ人間として大変不快な気持ちになってしまう。
先進国に生きる一個人として、経済的に未発達のまま取り残されている国を、自己責任だからとして無視していないだろうか。 同じ地球の上で貧困に喘いでいる人達に見えないように蓋をして無かった事にしていないだろうか。 もしかして心の底で恵まれた者同士だけで平和で幸せに暮らせれば、後は仕方が無いと思っていないだろうか。
もちろん、先進国に生きる一個人に何が出来る訳でもない。 だけどすべての国民がその一個人と同じ気持ちになったら国際的な支援方法は必ずや変わって来ると思う。 私は、「不法移民を阻止する為に国境を封鎖して解決したと豪語している政治家」を決して許す気持ちにはなれない。
私は人生で見て来た「色々な貧しい国の善良な人達の暮らし」を思い出すと、自分が何も出来なかった事がとても口惜しく心残りだ。