なぜ夢の中の出来事の多くは記憶の中に残せないのだろうか、昔から本当に不思議だと思って来た。 生々しい夢をしっかりと見て、ハッと目を覚ます。 これは凄く印象的だったので、ちょっと「保存」して置きたい。 しかし永年の経験でそれが大変難しい事だと分かっている。
目を覚ませて階下のトイレに行く間、出来るだけ目を開けないようにして、夢で見た世界をリプレイして少しでも記憶として再確認するようにする。 トイレに入っても電気はつけない。 パッと現実の世界が眩しく目に飛び込んだ瞬間、見た夢の95%は記憶から吹っ飛んでしまうのを知っているからだ。 そうやって頑張って階段を上って寝室のベッドに戻った時には、夢のほんの片鱗しか覚えていないので、見た続きは見たくても、もはや見る事はできない。
ベッドの横にメモ帳を置いて、見た夢を目が覚めたらすぐに記すようにしている人がいるらしい。 私はやった事はないが、例えメモ用紙を用意しておいても、書こうとして灯りをつけて目の前に明るい現実の世界が見えた瞬間に忘れてしまうような気がする。
夢を見ている時、すなわち眠っている時は、脳の記憶回路はお休み中のようだ。 だから夢から覚めると同時に思い出せなくなるのだろう。 思い出せなくなるから意識して記憶しようと思ってもできない。 でも元々自分だけの夢の世界の話だから、思い出せなくて現実生活で困る事はない。
「さくら咲く国」って歌ご存知だろうか? 松竹歌劇団のレビュー「東京踊り」のテーマソングだ。
先日妻と何かの話をしていた時に、たまたま出た話題をきっかけに突如私の頭の中に「さく~ら、さ~く~ら~♪」とその切り取った一フレーズだけのメロディーが懐かしく聴こえて来た。 何故かわからない。 突如記憶のかなたから聞こえて来たのだ。 何処かで聴いたすごく懐かしい特別のメロディだ。
「さく~ら、さ~く~ら~」の歌詞とわくわくするような華やかなメロディだけは思い出されるのだが、その前後はわからない。 ましてや、どんな種類の何の曲で誰が歌っていたのかなど全く思い出せない。 ただすごく印象に残って懐かしい響きだった。 どうしても思い出したくなった。
だけど、何度頭の中だけでなく声を出して口ずさんでみても思い出せない。 それから3日間、朝から晩まで何回口ずさんだかわからない。 やがてそのあとに続く次のメロディらしき物を少しずつだが想い出して来たが、はっきりとしたフレーズまでは完成しない。
ここまで私の心を揺さぶるメロディに、私は意地になった。 なんとか思い出してやろうと「さく~ら、さ~く~ら~♪」と口ずさみ続けて、頭のひらめきを待った。
なんだろうこの懐かしさは? と思っていたある瞬間「どこかの歌劇団の歌だ」と突然思い出した。 そこからは早かった。 歌劇団と言えば宝塚歌劇団しか知らない。 そこでインターネットを検索してやっと辿り着いた。
その時は一人で歓声を上げてしまった。 自分で自分相手に何喜んでいるのかと思った。
私の大好きな「男はつらいよ」(寅さん)の第21作「寅次郎わが道を行く」に浅草の歌劇団の美女軍団が眩いばかりの衣装と踊りで「さく~ら咲く~くに~♪、さく~らさ~く~ら~♪」と軽快に歌う場面が出て来る。 あの軽快なノリと眩く美しい美女の踊りがあの時代の男の心をどれだけ奪ったか想像に難くない。
1930年に誕生したこの歌曲を知っている人は極めて限られていると思う。 私の場合は、大好きな寅さんのワンシーンだった事もあり、心の中に深く刻み込まれていたようだ。
(OSK日本歌劇団『さくら咲く国』)
この「さくら咲く国」の歌を脳と闘った末に思い出したと言う話は、おそらく多くの人にとっては毎度バカバカしい話だろうと思う。 しかし、この体験した私としては大変すがすがしく希望を感じる体験だった。
夢を見ている時には脳の記憶回路はお休み中のようだが、現実の世界でも、加齢によって脳の中の記憶回路がお休みしたくて働きが悪くなって行くようだ。
誰でも加齢と共に記憶力は低下して行く。 年齢や個人差により、程度に差があるし、中には病的に記憶力が落ちてしまっている人もいるようだが、いずれの場合でも、とにかく自分で努力して取り返すしかない。
まずは、困った事が起きないように、記憶力低下をカバーする為のアイデアや工夫の仕方はある。 以前に下の記事で一例をご紹介した。
https://mafnet.jp/blog/archives/862
(『記憶力維持に必ず役立つ対策法』)
そんな中、今回、そこからもう一歩進んで、失われたあるいは失われつつある記憶を積極的に思い出す「脳トレ」も有効であることを体験した事はちょっと励みになる話だった。
「さくら咲く国」記憶復活体験は、諦めないで頑張って自分の脳と闘えば少しずつ失った記憶を辿って、最後には思い出す可能性が有る事を教えてくれた。 頭の中に少しでも記憶の片鱗があるのなら、「諦めずに自分の脳に激を飛ばし続ければ」思い出す可能性があるのなら、その人にとって是非思い出したい事だったらとてもありがたいはずだ。
古希を過ぎたあたりから、体力の低下と共に記憶力の低下はかなり進んで来た。 歳をとるのは辛いと思って、はかなんでいたが、TVなど観ていると私の子供位の年齢の人達が良く記憶力が落ちたと話している。 それも一人ではなく、程度の差こそあれ、結構見られるようだ。 「過去に体験した事」に関する記憶力は、年齢の経過と共に少しずつ若い時から減退しているようだ。
ただ、同じ記憶でも私が過去に趣味や仕事で「努力して身に付けた知識など」は、未だにほとんど忘れていない。 語学についても、使ってない言語は言葉がすぐに出てこない事はあるが、ちょっと聞いたり見たりすれば、かなり速やかにレベルは回復する。 自分の脳は捨てたもんじゃない。 自信を持つ事だ。
記憶と言っても「過去に体験した事」の記憶と「努力して身に付けた知識など」の記憶は別なようだ。 やはりターゲットは「見た・聞いた・体験した」事の記憶だ。
・夢の記憶はどうでもいいのだから諦める
・努力して身に付けた知識は忘れていないのだから自分の脳に自信を持つ
・「見た・聞いた・体験した」は脳トレの攻撃目標!!頑張ろう!!
と言う事で、諦めずにより高度な「脳トレ」法も模索しながら脳の老化と闘って行こうと思う。