スマホ時代に子供を守るということ

昨年末、オーストラリアでは16歳未満の子供がSNSアカウントを持つことが禁止された。 特に12〜15歳は脳と心の発達段階にあり、メンタルヘルスへの影響が大きいという医学的根拠に基づいた措置だ。

 

成長への悪影響にとどまらず、SNSが原因で誹謗中傷やいじめが起きたり、悪意のある人間に騙されて犯罪に巻き込まれる事件も後を絶たない。

 

SNSに限らず、スマホの使用そのものが子供たちに大きな影響与えており、その多くが好ましいとは言い難い。 小学生が食卓について家族と話をせず、皿の横に置いたスマホを必死にタップしながら食べている。 ポイントが稼げるかららしい。 なんという事態だろうか。

 

私は、自分が子育てをしていた時代にスマホがまだ普及していなかったことを本当にありがたかったと思う。 今の親の立場を考えると、ぞっとするほどだ。 私の子供たちは、まだ孫が小さいので「駄目!」の一言で制御できているが、学校の友達の中には自分専用スマホで自由に遊んでいる子もいる。 いつまで「駄目」が通用するのか、考えるだけで頭が痛くなる。

 

スマホの所持だけでも大きな問題だ。 娘に聞くと、特に最近当たり前になったターゲティング広告や動画のターゲティング配信を心配していた。 一度見ると、それに類似した内容が次々に表示されるという仕組みだ。 気づかない内に、子供が「世の中はそういうものばかりで、それが常識だ」と思い込んでしまうリスクは極めて高い。

 

ましてやSNSとなると、その影響は計り知れない。 私はそもそもSNSをあまり好まない。 どこの誰かもわからない人間が、ウケを狙って流す無責任で短く、中身も吟味する余地もない動画や情報。 その中には生成AIを駆使したフェイクも多く紛れ込んでいる。 そしてそれらを面白がって、あるいは真剣に受け取ったりしている大人たち。 そんな大人が通勤電車の中に溢れている現状を、とても肯定する気になれない。 ただ、それは責任ある大人それぞれの行動であり、所詮は価値観の問題だ。

 

しかし子供はそうは行かない。 子供本人の意思に関わらず、なんとか守ってあげなければならない。 テレビで報道されるアンケートを見ると、過半数の親は少なくともSNSの利用は禁止すべきだと考えているようだ。 しかし反対意見を持つ親もいる。 「子どもの意思を尊重したい」という理由はまだ理解できるとしても、「禁止したって、親に隠れてやるし抜け道はある」と答えた親には驚いた。

 

事実、オーストラリアで禁止が法制化した際にも、テレビでは「海外アカウントを作れば可能だ」など、法の目をかいくぐる手口が紹介され、法制化の意味を疑問視する意見も取り上げられた。 しかし、そんなことを言うのなら、麻薬は禁止されていても裏から売買する者はいるし、盗みはいけないと言っても盗みを働く者はいる。 それでも法律が無意味だとは誰も言わない。 法制化を批判する理由にはまったくならない。

 

この問題は、今の親世代に課された課題で、爺ちゃん婆ちゃんが悩む問題ではないだろう。 自分が子育てをしていた時代に、こんな悩ましい問題がなかったことに安堵するとともに、今の親世代が取り返しのつかない事態にならないよう、良い結論を得てほしいと心の底から祈っている。

 

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