音楽の力

音楽の力を示した言葉として「音楽には国境がない」とよく言われる。 どんなに異なった文化でも共通して感動をもたらすことができると言う側面と、音楽は「万国共通語」であると言う側面がある。

 

この認識を新たにしたのがロシアのコンクールで、演奏するのが超難しい曲として有名なサラサーテ作曲の「ツィゴイネルワイゼン」を弾いた8歳の日本人「バイオリニスト」吉村妃鞠(ひまり)ちゃんの演奏動画だ。 彼女は現在は14歳になるが、6、7歳の頃から神が宿る天才バイオリニストとして世界に名を轟かせている。 この動画で審査員がうっとりしたり唖然としたりこの可愛い小さな天使に翻弄されている様子がわかる。

https://www.youtube.com/watch?v=n2Oqkh6LQJs

 

他にもバイオリン協奏曲のソロをオーケストラと一緒に演奏した時、指揮者が感動して涙をぬぐっている場面を収録した動画も公開されている。

全く言葉が通じなくても人とコミュニケーションをし、感動をも与える事ができるのが音楽だと言う事を実感できる。

 

妃鞠ちゃんの話をした後で誠に僭越・恐縮だが、私は3ヶ月ほど前から幼少の頃2年間習っただけのバイオリンの演奏に挑戦している。 きっかけは息子と飲んだ時、息子が酔った勢いでスマホを操作してメルカリで買ってくれた中古のバイオリンだった。 「ママのピアノと合奏して演奏会を開いてみたら凄い!」と言う戯言が引き金となった。

 

数日後バイオリンが届いて、恐る恐る昔を思い出してとにかく音を出してみたが、60数年間の空白にはいかんともし難い絶望に近いものがあった。

幸い隠居生活に入った直後で、はてこれから何をして生きるべきかと彷徨っていた時だったので、もともと凝り性・情熱派の私のエンジンがかかって取り敢えず方向構わず走り始めるのに何日もかからなかった。

 

取り敢えず目標は息子が言ったフランク・シナトラのMy Wayを弾けるようになり、女房のたどたどしいピアノと合奏をする事だった。

 

実は女房は女房で最近、ピアノの練習に精を出し始めていて、毎日最低3時間はピアノに向かっていた。 女房は元々性格は私と反対で、何をやっても夢中になれず諦めてしまう派だったのだが、最近お友達のピアノの先生が月1度レッスンをしてくれるようになった事もあり、とにかくがむしゃらに練習するようになった。 その変わり様に永年連れ添った私がびっくりするくらいだった。

 

ただ、結婚してからちょっとエレクトーンを習っただけで、きちんとピアノを習った事のない彼女はほとんど独学も同然だ。 もともと器用な方ではないので、上達の速度は気遅れするほど遅いのだが、それにもめげずピアノに立ち向かう姿に、私は負けじとばかりバイオリンの独学に立ち向かう日々となった。 

 

私のバイオリンは日々の特訓で昔の記憶が少しづつ蘇り、なんとかMy Wayを弾けるところまで漕ぎつけた。 当然ながらとても人に聴かせられるレベルではない。 聴くに堪えない音だ。 でもとにかく妻のピアノのMy Wayのレベルと甲乙(丙丁)つけ難いと思える所まで来た。

下手でも取り敢えず満足だ。 誰かに聴かせるとしても息子と娘、そして孫たち位なのだから。

 

いつの間にか、この音楽の「狂演」は二人の生活に予想もしなかった前向きな気持ちと楽しい時間を与えてくれていた。

 

音楽はどんな状況にある人も前向きにさせる事が出来る力があったのだと思った。 音楽にあったこんな力をありがたく頂きながら、人生の最終ステージを心を豊かに満たしながら過ごせて行ければと思う。

 

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