年齢が教えてくれた「親しい人との適切な距離感」

友人・知人の中には夫婦関係が必ずしもうまく行ってないと言う人がいる。 それも昔から悪かったのではなく、高齢者になってから関係がうまく行かなくなったと言う。

 

お話を良く聞いてみると、いずれも退職を機に問題が始まった様である。 私も若干身に覚えがある。 ただ私の場合は一時的な事で、関係が悪化しそうになった時に、原因に気づいてすぐに問題は解消したのだが、一歩間違えば根の深い問題に発展しかねない可能性はあったと思う。

 

それは「距離の過接近」だ。 「接近するのであって遠ざかるのではないのだからいいじゃないか」と思われそうだが、そうではない。 「過ぎたるは及ばざるがごとし」の言葉通りである。

 

きっかけとなり易いのは、夫の定年退職のようだ。 現役中は否が応でも距離があり、下手すればいつも家を空けていて、それで不平不満が勃発しかねない状態だったのが、退職に伴い突然一日中夫婦が一つ屋根の下で顔を突き合わせるようになるのだから環境は激変である。

 

結婚前後の愛に燃えていた時期であればそれは願ってもない幸せの時間となっただろうが、あれから軽く40年も経った今となっては事情が違う。 例えお互いに仲良く過ごそうと考えて一緒の時間を楽しもうとしていても、永年距離を置いた生活に慣れていてお互いに自由に生きて来たのに、いきなりくっついて一挙手一投足が目の前で見えるようになると、煩わしく感じたり疲れたりする場合が出て来かねない。

 

その状態でちょっとした気持ちのすれ違いや価値観の違いが原因となって衝突が起きたりすると、一気に事態は悪化するだろう。 その状況に二人が気づいてなんとかしようと関係修復に努めれば良いのだが、そのまま事態が進み複雑骨折してしまうと、最後は信頼感の喪失と言う最悪の決裂の事態に発展してしまい兼ねない。

 

560代の「若さ」であれば、最近よく聞く「熟年離婚」と言う悲劇の結末を迎えるケースもあるかもしれないが、65歳も過ぎた高齢者となるとそう単純に事は運ばない。 経済的面から見れば、共稼ぎして来た女性の場合は自分の年金もあるし、離婚財産分与もあるだろうから生活はできるだろう。 しかしその歳ではすぐ先に老々介護の世界が待っているかもしれず、今更「老年離婚」まで踏み込む夫婦は、よほど根の深い深刻な問題を抱えている場合に限られるだろう。

 

ところで、「適切な距離の維持」と言うのは、私のような人間関係に不器用な人間には難題である。 私は昔から良く言えば情熱派、悪く言えば感情に流されるタイプなので、相手を好きになればどんどん好きなり、逆に嫌いになると徹底的に嫌いになってしまうタイプだ。

 

ある人との距離が過度に遠のいてしまうと、必要な人間関係の維持が難しくなってしまう。 しかし距離が過度に接近してしまうと、これもまた問題で、相手に過度の負担感を与えてしまい、最後は避けられてしまう。

 

とかく人との関係に関しては良い事も悪い事もテンションを下げてヒート・アップしない様に努める事が大切だと思う。 私はこの分野では人生で何度か苦い思いをした事がある。

 

さすがにこの歳ではそれなりに気がつくようになったが、夫婦間も含めお付き合いしている人達との間には、いつも努めて適切な距離を維持できる様に心がけている。

 

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