miyaのベネチアレポート

02:イタリア人の口説き方
コラムに何を書こうかと思っていたら、さっそくこんな事が起こりました。

バイトが終わっての帰り道、ふと、私を呼ぶ声が聞こえました。
声の方を見てみると、同僚のN(男)が、カフェのテラスに二人のアジア系女の子と一緒に座っています。

"ボクの友達なんだよ。一緒に一杯飲まないか?"

一緒にいた子たちがアジア系という事で、好奇心を湧かせて私も御一緒させてもらうことにしました。
話を聞いてみると、友達と言っても、さっき知り合ったばかりで、名前も知らないとのこと。
Nが犬を散歩させていると、彼女たちが犬に寄って来たそうです。

二人とも韓国人で、バレエを習っていて、今回は、イタリアだけでなく、ヨーロッパ各地ををまわる旅をしていて、今晩にはウィーンへ出発するとのことでした。
Nと彼女たちとの会話は英語、私との会話はイタリア語なんですが、"この後、家につれていってバレエを見せてもらおうと思ってるんだ"と今晩の策略を教えてくれました。もちろん、彼女たちはイタリア語はわかりません。
しかし、このN、典型的イタリア人の口説き方をやってくれます。
もちろん、バレエを見せてもらうだけじゃないに決まってる!!

N:"ウィーンに行くの、一日延ばしたら?"
女:"いや、友達があっちで待ってるから。"
N:"友達だったら、一日くらい待ってくれるよ。"

女:"犬の写真、撮っていい?"
N:"いつもそうなんだよ。みんな、ボクの犬ばかり見て、ボクの事は見てくれない!ボクはブサイクかなー?"と言って、サングラスをはずして、色っぽい目でアピール。
女:"そんなことないよ。You are a nice guy!"

そんなところへ、友達がボートに乗って通りかかる。
友:"N!どうする?"
N:"後で、電話するよ!"

N:"いつもは、あの友達と一緒に、ベネチアのラグーナ(潟)をボートでまわるんだ。
ベネチアには、ボートでしか行けないような小さな島がいっぱいあって、すごくステキなんだよ。レストランだけや教会しかない島だったり、無人島だったり、観光客はいなくって静かなんだ。それに、ボートって、風が気持ちいいんだよ。"


会話が順調に進んでくると、、、。
N:"miya、急いでるんだったら帰っていいんだぞ"
M:"帰れって事?ジャマはしないから、もうちょっといさせてよ。"
N:"いや、そうじゃなくって、急いでないのか?"
M:"このあとどうなるか興味があるんだけど。"
N:"ハハハ、Che stronza! おまえはピノッキオみたいになってしまうぞ!知ってるか。ピノッキオ?興味本位で首突っ込んで、足を焼くはめになってしまったんだぞ。"
M:"そんな詳細まで知らないけど、わかったわよ。明日、この後どうなったか教えてね。じゃあ!"

うーん、この後どうなったか、どう口説いたか興味津々!

そして、Nの言った"Che stronza!"、とても汚い言葉になりますので使わないように。直訳すると"クソ野郎!"以上に汚い言葉です。
特にベネチア人は、口が汚く、こういう言葉がないと会話にならないくらいです。
気心の知った人同士だと、相手も同等にやり返すのですが、ヘタにやるとケンカになりかねません。

そして次の日、Nが満面の笑みで仕事にやってきました。

N:"彼女たち、ボクの部屋で踊ってくれたよ。"
M:"え?家につれていったの?"
N:"うん。ボクたち、一緒にワインを飲んで、踊ってもらって、そして、 abbiamo giocato. miya、おまえも来れば良かったのに。"
M:"なに言ってんのよ!あんたが帰らせたのに!"
N:"クックック、、、。"

えええー!
彼女たちは、Nの家(カフェの100m先)に行って、しかも踊ったのー?!
で、"abbiamo giocato."というフレーズ、日本語にはうまく訳せません、含みが大きくて。
英語にすると"We have played."
"私たちは、遊びました"って、こんなことを言いたいんじゃないのに。
何か、うまい訳あります?

abbiamo:avereの一人称複数形現在、英語の haveにあたる。
giocato:giocare(遊ぶ)の過去分詞。英語のplayed(play)にあたる。

世界中の男性のみなさん、ちょっと見習ってみたくなったでしょうか。

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