miyaのベネチアレポート
17:またまたアクアアルタ
また今週もやってきましたアクアアルタ。
いつもの事なので慣れてはいるのですが、今、住んでいる部屋が浸水してしまうのでぼんやりしていられません。
それに、今回のは、予報が133cm、風の具合によっては140cmも超える可能性ありと、またもや部屋が浸水するおそれあり。
イタリアの予報はいつも外れるのですが、140cmっていったら、前回より水位が上がってしまうので、念には念を入れて準備しないといけません。

今回の予報は二日前から出ていました。
その時の予想は119cm、前日の予想はグンと上がって133cm、かなり幅がありますが、とにかくまた大きなのが来る!というので、私の家も浸水に向けて床の物をすべて台の上に乗せました。
重い洗濯機も二人で持ち上げて、今回は準備万全。

そして当日9日の水曜日、朝から激しい風と雨でひどい天気です。
しかし、今回の風はBora(ボラ)と言って、トリエステの方から吹く冷たい北風、前回のような生暖かい南風ではないので、意外と水位は上がらないかもと思いつつ、願いつつ、 アルバイトに出かけました。

満潮が朝の9時半で、結局最高水位は125cmと予報以下でしたが、それでもベネチアの45%は浸水したそうです。
私の家は、玄関に少し水が入っただけでしたが、その先は池のようで外には出られなかったそうです。(ということは、前回の137cmの時は、家は約12cm浸水した事になります。)

しかし、この日、北風ボラが水を押し出してくれたおかげで、アクアアルタはそれほどでもなかったのですが、風が激しくて、内海が嵐のように荒れ、船の行き来も差し支えるほどの時化になってしまい、これじゃあ、どっちが良かったのかわかりません。
ただ、ベネチアの少し南の方にあるChioggia(キオッジャ)という町は、最高水位144cmを記録したそうです。
この町は、いつも数センチほどベネチアより高く浸水するのですが、ボラが吹かなかったら、ベネチアも140cmは超えていただろうと言われました。

10日前のは突然来てしまったのですが、今回は予報が事前に伝わっていたおかげか、準備が整っていて、浸水する道には簡易通路 が置かれ、町の行き来はそれほど不自由ではなかったのですが、天気が悪くて、要するに、人が外に出られなかったので、目立った被害は聞かれなかったようです。
前回(10日前のだけど)の教訓を受けてか、市役所で出している水位の情報案内に、二万一千件の電話があったそうで、この件数は最高記録だそうです。

ベネチア人の知り合いたちが、アクアアルタの話題で盛り上がっていましたが、やはり1966年の時(194cmを記録)のはすごかったそうです。
「朝起きてベッドから降りて、ボチャンと水に浸かった事を昨日のように覚えている。」「まだ子供だったけど、胸まで水に浸かっちゃったのよ。全部水でどうしようもなかったわ。」「ブラーノ島で一件だけ浸水しなかった家があって、みんなにパスタを作って配ってたよ。そこしか、コンロが使えなくなってたんだ。」
66年を知らない若い子は、「今日のは靴がぬれたけど、水遊びみたいで楽しいけどね。地震の方が恐いよ。」もう、みんな慣れっこです。

町中で、子供が小さい友達をおんぶして、水の中をじゃぶじゃぶ歩いているのを見ました。 通りすがりのおじさんが、「かんばれー!」と応援していて、ほほえましかったです。水上バスでも、間違った乗り場にいた人の為に、ちょっと止まって乗せてあげたりしていました。外国に住むというのはとても大変な事だけど、こうやって知らない人同士でも声を掛け合ったり、手助けしたりする暖かい光景を見ると、その大変さも消えます。

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