miyaのベネチアレポート
16:アクアアルタで浸水
とうとうやってきました、ベネチア名物浸水現象アクアアルタ。
部屋の中まで浸水、約8cm。
10月31日日曜の午前中、最高水位は137cmで、今年はアクアアルタのひどい年になりそうです。
ここ一週間以上"シロッコ"と呼ばれるアフリカからの暖かい南風が吹いていて、この風が水を押し上げて出口を塞ぎ、さらに前の日の晩から激しい風雨で水かさが増し、今年一番のアクアアルタになりました。しかし季節は始まったばかりです。

日本も今年は災害が多いですが、こちらもおかしな気象が続いています。
夏は汗をかいた記憶もないくらい冷夏で、9月になったら冬のように寒くてコートを着込むくらいだったのに、10月中旬からシロッコで暖かくなり、日中は半袖でいよく、海辺で日光浴をする人がいるくらいです。

そして、アクアアルタがきていたとき、私はアルバイト中でした。
晩からの激しい雨と、アクアアルタの警報で、120cmくらいはいきそうだと思っていましたが、水はどんどん上がって行き、125cmは超しそうで、家の中までちょっと水が入っていてるかもと心 配していました。
でも、アクアアルタは予想していたので、日頃から部屋の荷物は台の上や段ボールの空箱の上に乗せていました。
そういうことで、アルバイトが終わっても友達のお店に寄っておしゃべりしたりと余裕で家に帰りました。
そしてそこで見た物は、グチャグチャの部屋。

段ボールの空箱なんて、意味がなかったんです。
きっと、2,3cmくらいのちょっとした浸水だったら大丈夫なのでしょうが、今回のように長時間の激しい浸水では、段ボール箱はすべて崩れ落ち、上に乗せてあった物は、部屋中に散らばり水浸し。

同居人の女の子は、掃除疲れでクタクタになっていましたが、それでも私の部屋の片付けを手伝ってくれました。彼女の話では、「6cmくらい水が入ってきたのよ!これくらい」と指で指し示してくれましたが、どう見てもそれは10cm以上ありそうでした。部屋の様子からは、何センチの浸水だったか正確な数字はわかりませんが、床に置いておいたミネラルウォーターのラベルの部分まで水がしみていたので、約8cmは浸水した模様 です。

それにしてもひどい有様。
汚い水なので、すぐに掃除しないといけないし、濡れてしまった服も洗わないとと洗濯機に入れてスイッチを押したとたん、家中の電気が消えてしまいました。
ヒューズが飛んでしまったんです。またこんな時に限ってツいていない。
携帯電話のかすかな明かりで家のヒューズを確認すると、それは落ちていなく、それじゃあいったいどこ?
館の中庭に出て入り口の近くにある倉庫をのぞいてみると、他のアパートのヒューズが並んでいました。そこで、落ちているやつを探してスイッチを入れてみると、無事に電気がつきましたが、洗濯機は使えないので手洗い

とりあえず、部屋を片付け、水をほうきで掃き出し、床を何度もモップで掃除しました。濡れた靴も何足もあるし、本や雑誌が濡れてしまって、乾かすのもめんどくさい物はきっぱりと捨てて、大事な物だけ暖房の上に乗せて乾かすことにしました。それでもすごいゴミの量。

そしてこれを書いている11月4日木曜日、本はまだ全部乾いていません。< br> 毎日、場所を入れ替えたりもしましたが、ホントにひどい有様。
しかし、一ついい事があって、今日、ようやく洗濯機が使えるようになったんです。電気製品の事はよくわかりませんが、中に入っていた水がヒューズを飛ばしていたのでしょうが、それも乾いたのじゃないかと思います。
家の床はすべて掃除しましたが、それでもまだ家中湿っぽく、壁がぼろぼろはがれ落ちてきます。
月曜日のニュースでも、今週一週間はシロッコが吹き、アクアアルタがくると予報が出ていたので、あまり掃除をする気にもなれず、荷物や靴は未だに棚や机の上に山積みのままです。


今朝の新聞の記事にありましたが、1966年の11月4日に記録的なアクアアルタが来て、194cmまで最高水位が上がったそうです。
今回のよりもさらに57cm以上、ということは、この家は65cm浸水した事になります。家中のコンセントの位置が床から1メートルと高いのは、この時の教訓なのでしょうか。知り合いのおばさんが、1966年の時は胸まで浸かったと言っていましたが、それも納得。

通常、アクアアルタの季節は11月から3月ですが、これから5ヶ月間、まだまだ始まった所です。

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