11.時代の流れ~民主主義に挑戦する権威主義 08/26/2021

ここ百年のスパンで世界の歴史の流れを振り返って見ると、次に何が起きるかわからない大変危険かつ最悪の局面に達しているのがわかる。

第二次世界大戦後の世界は、米ソの「民主主義」と「共産主義」の冷戦の拮抗の中で平和な発展を遂げて来た。 しかし今やその構図は「民主主義」と「権威主義」の対立に変化している。

共産主義とは今から200年ほど前に誕生したマルクスが資本論で唱えた格差のない理想の社会に端を発するが、中国はいまや党の路線を正当化するためにマルクス主義を利用しているに過ぎず、党高級幹部の特権階級化、国民の社会格差は拡大して固定されてしまった。 もはや共産主義国家と言うよりか単なる権威主義国家=専制国家に過ぎなくなってしまった。

ウイグル自治区での非人道的な民族排除政策を展開し、まさにかつてのドイツ・ナチスのユダヤ人大量抹殺とやっていることは何も変わらない。 領土拡大の野望を持ち世界を支配しようとする覇権主的な姿勢もナチスと全く変わらない。

ミャンマーの軍事政権、アフガニスタンのイスラム教極右勢力による暴力的政権奪取は最も新しいところである。 共産主義を唱えなくても宗教や軍事的野望の元で権威主義は成立し専制国家は誕生するのである。

宗教もイデオロギーもない単なる暴力的な一個人独裁者が暴走し続けている北朝鮮も、鎖国政策の下でたわ言を言っているうちはまだ良かったが、それを放置した結果いまや無視できない核軍事力を保有するに至り世界平和を破壊し得る火種となっている。

米ソ冷戦時代はアメリカが世界の民主主義国家の盟主として確固たる地位を築いており、民主主義と共産主義の対立構造のもとで外見的にはそこそこ安定して推移していた。 しかしその後権威主義の拡大とともにアメリカは疲弊し、トランプ大統領が唱えた米国第一主義とバイデン大統領のアフガンからの完全撤退でイスラム原理主義による恐怖政治の再来を招いたことなどから、もはやアメリカはその盟主としての信頼とリーダーシップを失ってしまった。

これは敗戦国日本がアメリカが守ってくれると言う傘の下で平和に発展して来れた時代の終焉もあり得ない事では無いことを示唆している。 梯子ならぬ傘を外された日本が権威主義国家の餌食になるのは実に簡単な事であろう。

世界は無法者が肩で風を切る大戦乱時代に突入しつつある。 突き進む環境破壊と地球温暖化、宇宙デブリの急増問題、軍事的野望が強く潜む宇宙開発競争、軍事的活動から作られたと疑われるコロナの誕生など、はっきりしているものと疑わしい物も含め、人間社会の平和を根底から脅かす問題が今の時代を覆いつくしている。

歴史は繰り返す。 確かに古代ギリシアからの戦闘の歴史、また東洋では黄河文明の時代からの戦闘の歴史に始まり、人類の歴史は戦闘の歴史そのものである。 立場の弱い人々が虫けらのように殺されて来た長い歴史が人類の歴史である。 人間は愚かなのである。

今の時代の流れを決して楽観視してはならない。 大きな土石流や洪水に抵抗の術もなく跡形もなく押し流されるように、時代の流れは毎度容赦がないのだ。 歴史がそれを証明している。