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             外国語ing My Way
        情報マガジン NO.000025  2004.12.6配信
   サポート・サイト:http://www.ki.rim.or.jp/~jr1maf2/gmyway/
           メール:jr1maf2@ki.rim.or.jp
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「外国語ing My Way」マルチリンガル習得へのヒント・シリーズ(11)
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第11回 お手本は真剣になって丸ごと食べよ

今ではCDやテープが付いていない語学参考書の方がはるかに少なくなってし
まいましたが、これは本当にありがたい事です。 このCDは是非思いっきり
活用して磨り減るまで(レコードじゃないのでCDは何度聴いても磨耗しませ
んが)聴かなければなりません。 ところで、このお手本CDについて、「聴
いた方が発音が良くなる」程度の認識であるとしたら、ちょっと考え直して頂
く必要があると思います。 お手本を真剣になって聴いて、忠実に発音を身に
つけていなければ、仮にそのセンテンスを暗記できたとしても実戦では役に立
たないかもしれないのです。

基本的に書かれている文字には決して正しい発音は表示されていないと考える
べきです。 更に各言語にはそれぞれ学習に便利な発音記号や発音表記が用意
されていますが、仮にその記号や表記を正しく理解できていても、そして記号
や表記通りの発音ができたとしても、それでもまだ正しい発音はできていない
場合が多いのです。

そもそも広義で言う「発音」にはいくつもの要素が含まれています。

1.狭義の発音:母音や子音、あるいはその組み合わせによる最小発音単位の
  「音」そのもの

2.狭義のアクセント:ひとつの単語の中における音の強弱(英語でアクセン
  トと言う場合、一般的には日本語で言う広義の「発音」をさします。 日
  本語で言うところの「アクセント」は、英語では「Stress(ストレ
  ス)」と言います)

3.抑揚(イントネーション):ひとつの単語の中における音の高低。 歌う
  感じの流れですね。 英語ではアクセント(ストレス)が置かれた音が、
  自動的に(結果的)に高くなる傾向があり、そう言う意味ではアクセント
  (ストレス)とイントネーションの差はあいまいです。 しかし中国語な
  どでは明確に区別されています。(高・低と二つの音が続いた場合、低い
  音の方が強く発音される場合もたくさん有)

4.声調:中国語やヴェトナム語、タイ語などに顕著にみられる最小発音単位
  (母音、もしくは子音+母音)内の音の「高低」もしくは「高低の変化」。
  日本語にはまったく見られないものですので、習得には苦労します。 日
  本人には大した差はないように聴こえても、ネイティヴには全く異なる「
  発音」として聴こえるやっかいものです。

5.上の4つはどちらかと言うと文法的な「発音」の問題ですが、更にやっか
  いな「発音」があります。 それはひとつの単語や慣用句、文章の中での
  独特の節回しです。 音の高低や強弱、スピードの緩慢などが組み合わさ
  って形成されます。 これを守らないと、正しく「発音」しているのに通
  じにくい、或いはまったく通じないなんて事もあります。 少なくともネ
  イティヴには「ああ、やっぱり外人だな」と思われてしまいます。

一般に発音記号とは、その単語の該当文字の発声音そのものを表している事が
多く、ひとつの単語となった時、あるいはひとつの文章の中での微妙な抑揚と
か微妙な音の長短とか、実際に口から発声される時の様々な要因を表しきれて
いません。 中国語のピーイン(中国語の発音記号)は声調(四声)を併記し
てありますが、それとて極めて不完全なものです。 同じ記号でも使われる単
語や単語の中の位置によって実際の発音はかなり異なってくるケースが多々あ
ります。 発音記号自体がこの有様ですから、ましてや単語の中での微妙な変
化とか、文章の中での微妙な変化などは掴みようがないのです。

こうやって振返ってみると、ひとくちに「発音」と言っても一筋縄では行かな
い事がおわかりになると思います。 ですから発音(広義の)は、最低限でも
単語単位で「聴こえる音の要素すべてをそのまま」覚える必要があるのです。
そして良く使われる慣用句などは複数の単語をセットで覚えた方が間違いがな
いのです。

時間もないし、つい面倒くさくなってテキストだけで勉強を進めてしまうよう
な事もあるのではと思いますが、それは大変危険な事です。 いつの間にか自
分の思い込みの発音が自分を支配するようになってしまう危険性があります。
いざ実際にネイティヴを目の前に話す段になって、どうもうまく通じないなん
て結果になりかねないのです。

なんだか掴みどころのない大変な事のように聞こえますが、これは理屈ではな
いので、仕方ありません。 むしろ理屈ではないので頭から丸ごと覚えてしま
えば言い訳ですから簡単といえば簡単なのです。面倒くさいだけです。(笑)

CDをいつもかけっぱなしにして、「ながら族」的に音に慣れると言う手もあ
りますが、私の経験上ではあまり効率の良い方法ではないようです。 人間の
感覚とは素晴らしいもので、注意を払っていないものは確実に無視してしまう
のです。 それが更に慣れてしまうと、その感覚すら感じなくなってしまうの
です。 代表的な事例が人間の血液が鼓動によって流される音です。 耳を指
で塞ぐと「ぐぐぐぐぐ」と音が聞こえると思います。 鼓膜を初めとする聴覚
器官も血流に洗われているので当然血流音が大きく響き渡っているのですが、
普通の状況では我々はそれを知覚する事がありません。 慣れてしまって脳が
知覚を無視し、聞こえなくなっているからだそうです。 CDの聴き流しもそ
の傾向があります。

CDを「聴き」流すのではなく、「聞き」流さなくてはいけないのです。 テ
キストを広げて、ひとつひとつの文章を目で追いながら「聞き」流すのです。
通勤電車の中で「聴き」流していても、頭では全く他の事を考え込んでいる場
合もあります。 もはや耳に入ってきている音は言葉ではなく、単に周りの騒
音をかき消してくれる音のカーテンに過ぎなくなっているのです。 効果があ
るようでないのがこの「聴き」流しです。

そうは言っても私は家を出てから会社のオフイスに入るまではヘッドフォンで
外国語のCD(小さくて便利なのでMDにコピーしてMDウォークマンを使っ
ています)をかけっぱなしです。 無駄は承知の上です。 だいたい電車に乗
ってしばらくすると爆睡しています。(笑) それでもそうしているのは、眠
りに入る前とか、歩いている時とか乗り換えている時など、結構耳に集中でき
る瞬間があるからです。 片道2時間聴いていても2時間分の効果は当然あり
ません。 しかしそれでもおそらく10分か20分程度は集中できているので
ありがたく続けています。 更にテキストはいつもカバンに入れて持ち歩いて
います。 駅で電車を待っている時、乗って座席に座っていても元気のある時
は努めてテキストを開いています。 テキストを拡げながら「聞いて」いる時
の成果には目を見張るものがあるからです。

外国語のドラマや映画をテレビやビデオ観る機会があるのなら、是非ともノー
トを用意して、出てきた使えそうなフレーズをメモし、繰り返し聞いてそのフ
レーズごと発音全体を耳に叩き込む訓練をしたら良いと思います。 これは大
変効果の高い学習法です。 そうやって覚えたフレーズはネイティヴとの会話
の場でいきなり使ってみても100%通じます。 それだけではなくネイティ
ヴの方に「うまいねぇ!」って誉められかもしれません。 ところが、参考書
などで目から覚えた表現を頭で考えて自分の会話に織り込んで初めて使うと、
かなりの確率で通じなかったりする事でしょう。 その場合在日年数の長いネ
イティヴの方には問題なく通じたりします。 彼らは日本人の発音とかの癖を
知っているから問題のある発音でも聞き取ってくれるからです。

発音は、文字や発音記号だけは表しきれていません。 仮にその発音が正しく
伝わったとしても、ひとつの文章の中で使われる時には往々にして多彩な変化
をします。 ですから出来る限り一つの文例の中で丸ごと覚えるようにする事
です。 よく出て来る慣用句などは、必ずネィティヴの発音を確認し、少なく
とも慣用句単位で発音を練習し会得するように努力すれば、間違いなく報われ
る事でしょう。

(第12回に続く)


それでは皆さん、また来週!

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