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             外国語ing My Way
        情報マガジン NO.000024  2004.11.29配信
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           メール:jr1maf2@ki.rim.or.jp
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「外国語ing My Way」マルチリンガル習得へのヒント・シリーズ(10)
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第10回 文法と悩ましい冠詞たち

文法とはひとつの外国語をマスターしようと思うときの「特急券」です。 全
く日本の地理も地図も知らず、地図の読み方すら知らない外国から来た人が、
北海道一周旅行をして北海道のすべてを語れるまでに熟知して来ようと決心し
たときに手にする、羽田空港発函館空港行きの航空券のようなものです。 

そもそも北海道が東京からどっちに向かってどれだけ行けば存在するのかも知
らないわけですから、地図も読めない人が人に道を聞きながら自転車をこいで
北海道までたどり着くのは大変な事でしょう。 そうやって苦労をして無事北
海道までたどり着けたとすれば、そもそもの北海道の位置づけも身体で会得し
て、将来日本人の誰よりも北海道を語れる人間になり得るかもしれません。 
しかし、北海道にたどり着いてさぁこれから肝心の北海道そのものをじっくり
見て回ろうと思った時には滞在ビザの期限が到来してしまうかもしれません。

ビザの期間に余裕がある人はそれで良くても、限られた人生の中で、北海道だ
けに留まらず、できたらいくつもの興味深い地をめぐって自分の物にしたいと
考えている人にとっては、「特急券」なしには物理的に困難なのです。

しかし、特急に乗って現地に着いてからは、余程の事がない限り、「特急券」
にたよってしまってはいけないのです。 北海道に着いて、もし道内の移動に
特急列車や航空機を利用してしまったら、どうでしょう。 北海道の全てを語
れるように全てを学ぶ事を放棄しているに等しい事がおわかり頂けると思いま
す。 「特急券」はヒマラヤ登山で言えばベースキャンプ近くまでをヘリコプ
ター等の便利な交通機関に頼るようなものです。 しかし一度ベースキャンプ
を離れたら遭難でもしない限り、自分の足で歩かねばならないし、そうしなけ
れば登山の意味もなければ登山から得られるものも何もない事でしょう。

このように、私は外国語の習得の初期段階で、きちんと整理された文法を頭に
叩き込んでおく事が、効率的な外国語学習の上で欠かせない学習法であり、そ
の時期を過ぎた後は文法は振り返らずに、自分の肌で、身体で、実戦を通して
言葉を身につけていかねばならないと考えています。 しかし、一見単純で何
でも無さそうなのに、結構いつになっても悩まされるのが「冠詞」の使い方で
はないでしょうか。定冠詞(英語なら「a」)や不定冠詞(英語なら「the
」)などの使い方は、日本人なら誰でも悩んで苦労する項目ではないかと思い
ます。 なにせ日本語には存在しないので、概念自体を実感を持って理解しに
くいからです。 

かく言う私も、英語の冠詞については、初心の頃はかなりのウイークポイント
でした。 他の点については特段の問題もなく、かなり英語の技量をあげてい
たのに、冠詞となると自信がなかったり、間違った使い方をしたりしていまし
た。

それがある時にふとした事から、冠詞に対する発想が変わりました。 つまり
それまでは「冠詞とは、冠詞で、とにかく冠詞と言う品詞があって、それを正
しく使わなければいけない」と考えていたのですが、そうではない事に気がつ
いたのです。 「冠詞とは名詞が名詞だけでは表現しきれない『対象物』を正
しく表現する為に存在する、名詞を修飾する『形容詞』だ」と考えたのです。

それは当たり前の事といえば当たり前なのですが、両者の意識の間には大きな
差があったのです。 つまりそれまでは、「日本語には冠詞がないのに、なん
で冠詞なんかあるんだろう。 面倒だなぁ。」と思っていたのですが、その事
に気が付いてからは、「こんなに短い冠詞だけでこんなに『明解に』名詞のイ
メージを表現できるなんて、なんて便利なんだろう」と思うようになったので
す。 そう思ってから色々な冠詞がひとつの名詞のニュアンスをどう変えて行
くのか、その「差」に注目するようになったのです。

例えば、以下の4つの英語の文章は非常に似ていますが、意味は明快に異なっ
ています。

Dogs are animals.
A dog is an animal.
The dog is an animal.
The dogs are animals.

それぞれ

「犬と言う物は(一般的に)動物である」
「犬と言う物は(どの一匹をとりだしてみても)動物である」
「その犬は動物である」
「その犬たちは動物である」となりますね。 

冠詞たちの働きはすばらしいものです。 「冠詞は名詞を修飾して、名詞をよ
り具体的に表現してくれる」のですね。 冠詞たちは、みな名詞を修飾する形
で名詞の前や後ろ、また言語によっては前後で挟んでいます。 しかし、それ
は名詞の飾りや付属物ではないのです。 名詞自身が語れない、表現しきれな
い物を明快に表す為にそこに存在している訳です。

そもそも冠詞はすべての言語にあるわけではありません。 冠詞に関する文献
を開いてみると、西ヨーロッパ言語を中心にブルガリア語、ハンガリー語、ア
ラビア語などの言語が持っている品詞で、言語によって様々な修飾機能を持っ
ているのがわかります。 冠詞の一般的な機能を整理してみるとおよそ次の機
能に集約されるようです。

1.名詞を抽象的なイメージで捉えるか、具体的なイメージで捉えているかを
  表わす

2.名詞が聞き手にとって既知のものであるかどうかを表わす。

3.名詞の数を表す(フランス語、スペイン語、イタリア語など)

4.名詞の性を表す(フランス語、スペイン語、イタリア語など)

5.名詞の格を表す(ドイツ語、ルーマニア語など)

6.名詞化の「標識」(多くのヨーロッパ言語…形容詞や動詞などあらゆる品
  詞に付けて名詞化する)

7.代名詞の代わり(スペイン語など)、指示形容詞や所有形容詞の代わり(
  多くのヨーロッパ言語)

このように見ると、冠詞は名詞にとってなくてはならない働きをしている事が
あらためてわかりますね。 冠詞を「厄介者」として機械的に学ぼうとはせず
に、「冠詞がひとつの名詞をどのように描き出してくれるのか、修飾してくれ
るのか」と言う観点から、あらゆる冠詞の機能に着目する事が大切なのではな
いかと思います。 

しかし、だからと言って冠詞を冠詞として頭で文法として覚えようとすると、
いつまでたっても自信を持って使いこなす事ができません。 冠詞は名詞を修
飾している意味のある存在ですが、その冠詞自体が意味を持っているわけでは
ないので、その機能や働きを「無条件に感覚として身につける」必要がありま
す。

これは文法を学ぶ初期段階を過ぎた以降についても言える事なのですが、冠詞
の使い方でもしつまづくような事があったら、同じ単語について他の冠詞を付
けて見て、そのニュアンスの差を徹底的にさぐってみると良いと思います。 
3種類でも5種類でも、思いつくままに冠詞を変えて同じ名詞に付けてみて、
ニュアンスの差をさぐってみる事です。 そしてできたらネイティヴの方にそ
のニュアンスの差を説明してもらえれば最高です。 そしてその冠詞に修飾さ
れた名詞のニュアンスの差を、理屈ではなく、ひとつのイメージとして感じ取
れるまで、何度も何度もイメージを頭の中に浮かべながらその比較例文を唱え
ると良いと思います。 比較する例文ごと丸暗記して、時々例文に使う名詞を
色々入れ換えて唱えまくると良いと思います。

冠詞をやっかい者として、あまり本気で取り合わないでいると、いつになって
も正しい言葉が話せるようになりません。 一度本気になって、ある単語に付
けて横にずらっとならべて、ニュアンスや機能の差を徹底的に比較すること、
そしてそれぞれを感覚としてイメージできるまでセットで頭に叩き込む事が、
冠詞を適切にかつ自由に使いこなす上で効果的ではないかと思っています。

(第11回に続く)


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ひと言
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■■ 今回の冠詞の話題について

イタリア・ページでおなじみの、みやさんからの「冠詞の学習方法のヒントを
」と言うリクエストにお応えする形でお話しました。

大したヒントにはならなかったのではないかと思いますが、逆に言うと「その
程度の学習でとりあえず色んな国の言葉を話せているんだ」と言う安心感を与
えさせていただけたかもしれません(笑)

みやさんの様に、どのようなテーマでも構いませんので、お聞きになりたい(
私を試してみたい)テーマがありましたら、どうぞご遠慮なくお寄せ下さい。

それでは皆さん、また来週!


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