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             外国語ing My Way
        情報マガジン NO.000018  2004.10.11配信
   サポート・サイト:http://www.ki.rim.or.jp/~jr1maf2/gmyway/
           メール:jr1maf2@ki.rim.or.jp
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「外国語ing My Way」マルチリンガル習得へのヒント・シリーズ(4)
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第4回 イミテーションには手を出すな

第2回、3回と自分の発音の矯正の仕方のお話をしましたが、なぜそれ程まで
して正しい発音にこだわらなければいけないのでしょうか。

そもそも何の為に外国語を学んでいるか、その基本に立ち返ってみると、多く
の人はその言葉を使って外国人とコミニュケーションをはかりたいと考えてい
るからでしょう。 コミュニケーションの形態は基本的には「話す/聞く」と
「書く/読む」の2形態しかありません。 このうち「書く/読む」と言う形
態については、筆談でも行わない限りリアルタイムにコミュニケーションをは
かる中心的手段とはなり得ず、あくまでも補助的役割しか果たせそうにありま
せん。

そもそも世の中にはまだ文盲の方がたくさん存在しています。 識字率が99
%に達している日本では考えられない事ですが、今でもアジアやアフリカを中
心に識字率が50%を割っている国がたくさん存在しています。 歴史を振り
返ってみても人類の平均識字率が上がってきたのはごく近世になってからであ
り、それだけ見てもひとつの外国語と言うのは、「話す/聞く」、すなわち「
会話」がすべてと言って良いくらい大切である事がわかります。 外国語は外
国の「言葉」であり、言葉と言うのは「話し、聞く」ものであり、そもそもそ
れだけしか存在していなかったのです。 文字が考案されて、「書く/読む」
様になったのは、ずっと後の事であり、今でもそれに無縁の人々がたくさん存
在しているのです。

しかし、多くの日本人は「会話」に対して「初歩的なもの」とか「あまり知識
とか勉強を要しないもの」と言う様な印象を持たされているのではないかと思
います。 「●▲語はどのくらいお出来になるんですか?」と言う問いに対し
て「いや、ほんの会話程度ですよ」なんて言う受け答えがそれをよく表してい
ます。 「ほんの会話程度」と言うのなら、「会話」以外にどんな大事な物が
あると言うのでしょうか。 わが国の大学受験戦争の下での中学校や高等学校
の英語教育が、いつの間にか「外国語」その物の姿を歪めてしまった感があり
ます。 これはとんでもない誤りであるとしか言い様がありません。 

外国語の習得は、すなわち会話の習得であり、その基本中の基本が発音である
のです。 発音をお座成りにすると言う事は、プロ歌手を目指す人が発声練習
も歌唱練習も行わず、衣装ばかり買い揃えてメイクアップの練習ばかりして夢
を見ている様なものです。



私の中学生時代の英語の学習に大きな影響を与えてくれた松本亨先生(故人)
は、当時英語を志す学生でその名を知らない人はいなかったのではないかと思
う位、多方面で日本人の英語教育の為に生涯尽くされた「英語の神様」とまで
呼ばれた「偉人」に等しい大先生です。 

松本先生はNHKのラジオ講座「英語会話」を永い間担当されました(195
1年4月〜1973年3月)が、そのどっしりと落ち着いた低音の響きでの語
りと深い実体験に基づいた説得力のある講義は、魔法の様に私の心を掴み、英
語への夢と情熱を掻き立ててくれました。 その先生の魔力は、その後ラジオ
講座を引き継いで来られたどの先生方も及ぶ事はできていないと言われていま
す。

その松本先生は多くの参考書や著書を残されましたが、その中のひとつ「英語
と私」の中で「わたしのすすめる英語の勉強法」について触れられています。
先生は勉強方としていくつかのステップを説かれているのですが、冒頭の2つ
のステップに以下のような主旨で発音の問題を取り上げておられます。

1.よい、生きた英語を聞く。 英語の基礎はなんと言っても発音である。 
  一つ一つのことばが正しい音となって口から出なければならない。 英語
  の習いはじめにまちがった発音を聞いたら、その人は致命的な発足をした
  ことになる。 まちがった発音は、聞けば聞くほど「いきた英語」からと
  おざかっていく。 せっかく英語を勉強しようと思っていても、それは活
  用できない英語を蓄積しているにほかならない。

2.それをまねして言ってみる。 聞いた英語と同じような音を出すことによ
  って、英語はあなたの血となり肉となるのである。 まねをするというこ
  とは、全く理屈を超越した心構えから発足しなければ効果がない。 聞い
  た通りの音を複製するには、たんたんとした気持ちでまねをしなければ完
  全な音はのぞめない。 何回も何回もやらなければいけない。



私はアメリカ人を始め海外の人達に「どうやってそんな素晴らしい発音を身に
付けたのか」と良く驚いて尋ねられます。 しかし、仮にそれらの言葉がお世
辞ではなくて本当に素晴らしい発音をしていたとしても、私には人に英語の発
音の勉強の仕方や身に付け方を説く事はできても、発音そのものを聞かせて指
導する事は絶対にできません。 例え頼まれても「そんなもの、とんでもない
!」と絶対に拒み続けるでしょう。 こんな発音を聴かせてそれをお手本にし
てもらったら、それこそ学ぶ人に一生道を誤らせてしまう事になると感じてし
まうからです。 

私はその位、発音と言う物は大切な物だと思っています。 どんなに上手くな
っても所詮外国人なのです。 ネイティヴとの差は絶対に存在し続けて、その
差は大きいのです。 「バイブル・シリーズ」の中でお話した様にネイティヴ
との差は決して埋まらないのです。

ネイティヴと言う「無限遠」(差が埋まらないと言う事は、何時まで経っても
到達できないと言う事であり、それは言い換えれば無限遠の所に存在すると言
う事ですね)にある物をお手本として見習っても、到達できないのに、ネイテ
ィヴでないと言う「有限の距離」にある物をお手本にするとは、最初から勝負
をあきらめてしまっている様なものです。 埋まらないその差がわずかであっ
たとしても、無限と有限の差はとてつもなく大きいのです。 無視する訳には
いかないのです。

私の中学校時代の英語の先生方は、私の為に課外でも一生懸命力になって下さ
いました。 ピッカピカの中学一年生の分際で勝手にアメリカにペンフレンド
を見つけて来て文通を始めた私を辛抱強く助けて下さったお話を「バイブル・
シリーズ」でご紹介しましたがあの先生方のご指導には大変感謝しています。
あのご指導がなかったら今日の私はなかったに違いありません。 しかし、そ
の上でここであえてお話をさせて頂くのですが、英語の授業のリーダーの読み
合わせは今から思うと本当に正しい指導法だとは思えないのです。

先生が文章を一つ読んで、生徒が一斉にそれに続いて読んで、また先生が続き
を読んで・・・と続くアレです。 あれだけは決してやってはいけない指導法
だと思うのです。 お世話になった先生方に対して大変失礼な言葉で申し訳な
く思うのですが、あれでは「まだ何も知らない、これからの教育次第にどうに
でも育つであろう生徒達」に、あえて間違った決して通じない英語の発音を叩
き込んでいる様なものなのです。

絶対にネイティヴのテープ(今ならCDですね)を流すべきであったと思うの
です。 ネイティヴの発音を流して、それに生徒が発音を続けてして、また次
の文章のネイティヴの発音を流す事を繰り返しながら、注意深く生徒の発音を
聞いて、「ネイティヴの発音とはここがこう違うから、もっとこう言う風に発
音しなさい」と、その違いを指導すべきだと思うのです。 サッカーやバレー
の監督やコーチが自らプレーをしてお手本を見せるでしょうか? 

ほとんどの日本人が6年にわたる英語教育を受けていながら、まともに話せる
人がいないのは何故かと言う話は良く耳にされると思います。 受験の為の英
語を教えているから、文法ばかり教えているからと言われますが、もっとも大
きな原因は、語学の習得で一番大切な「発音」を「理屈」としてしか捉えてい
ない点にあると思うのです。 「次のかかげる5つの単語の下線部の発音で、
ひとつだけ異なるものに○をしなさい」なんて問題はその最たるものです。 
ひとつだけ発音が異なる単語も、残りの4つの単語も「正しく発音できる事」
が大切なのであって、違いを知っている事が大切なのではないのです。 語学
の学習者はあくまでも「プレイヤー」であって、決して「監督やコーチ」では
ないのです。

もしこの観点が中学校の英語教育の中に最重要課題として盛り込まれていたな
ら、例え受験の為に文法や引っ掛け問題対応の教育が成されたとしても、結果
的に多くの人が6年間の間にきっと実用に耐え得る英語会話力を身に着けられ
ているのではないかと思っています。

今回の私は、あえて読者の皆さんの反感を買う事を覚悟で更にもうひとつお話
しする事にします。 上に述べた観点で物を言うと、実は他にも気をつけなけ
ればいけない物が出て来るのです。 

語学の同好会
他のメンバーがすべてあなたのめざす外国語のネイティヴであるのなら問題な
く賛成します。 しかし、日本人のメンバー同士で討議するとか話し合うなん
て事をメインに運営している同好会は、私なら絶対に避けます。 ひとりゲス
トのネイティヴが参加しているのなら? それでも避けたいです。 せっかく
正しい発音を聞ける機会に正しくない発音を一緒に聞いたら台無しです。 ポ
ップス・コンサートの帰りにカラオケ・スナックに行って飲みたいと思います
か? もちろん、同好会の中には私の知らない様な役に立つ興味深い活動を行
っておられる所もあるに違い有りません。 私が避けたいとする理由を払拭で
きるほど素晴らしい企画を実行しておられる同好会までをも否定している訳で
はありません。

学校の授業
先生が特別なご経歴の持ち主で、ネイティヴに限りなく近い発音をされている
方でない限り、先生の発音を脳にインプットしてはいけません。 「ええ?そ
れじゃ授業に出るなって事?そんな事言ったって!」と言われるでしょうね。
仕方ありません。 現実は受け入れなければなりません。 ですから授業中の
先生の発音にはしっかりと脳の中でふたをして下さい。(耳にふたをしたら失
礼ですから) 家に帰ったらネイティヴのCDをたっぷりと聴いて耳と脳を洗
浄して下さい。

ラジオ講座
ラジオ講座はどうでしょうか? ラジオ講座の先生ともなると、発音の方もネ
ィティヴに限りなく近い先生が出てこられるケースが多いですね。 前出の松
本亨先生などはその最たる存在でした。 しかし、中にはネイティヴとの差を
はっきりと感じてしまう先生方がおられる事も事実です。 いずれにしても心
配はいりません。 ラジオ講座やテレビ講座にはネイティヴの方が必ず「ペア
」で出てきます。 講座の指導は「ではネイティヴの方の後に続いて発音して
みて下さい」と言う形で進められています。 これが正しい指導の仕方だと思
うのです。

前出の松本亨先生は「英語と私」の中で、発音の大切さを次の様に説かれてい
ます。
「単語を一万以上も知っている人がいる。 どんなむずかしい原書でも訳読す
る人がいる。 それももちろん大切である。 しかし、その人達が話された英
語すなわちspoken Englishをすぐ理解できるかというと、必ずしもそうではな
い。 また、その人たちの話す英語が外国人に通じるかというと、それも保証
できない。 口から出てくる英語の単語一つ一つが英語でないからである。 
くどいようだが、結局、単語の正しい発音が英語の基礎である。 よくカナを
ふって発音を覚えようとする人があるけれども、それはパンに醤油をかけるよ
うなものである。」

単語や慣用句を一生懸命覚え、いわゆるボキャブラリーを増やす事はもちろん
大切な事なのですが、それら全ては、正しい発音の習得の上に立って行うべき
ものである事を肝に銘じて置かなければならないのです。



こんなお話をしていたら、大学の卒業記念にアメリカに初めて渡航した時の事
を思い出しました。 念願のアメリカの大地を踏んだ私は、有頂天でした。 
幼少の頃から憧れを擁き続けて来た英語の世界についに身を投じる事ができた
のです。 見るもの聞くもの触るものすべてが私を極度に興奮させました。 
好奇心の塊となって、24時間「本物の」英語だけの世界にいる自分が死ぬほ
ど幸せだと感じていました。 

そんな中でアリゾナのグランド・キャニオンを訪れた時の事です。 南壁(S
outh rim)から北壁(North rim)を見ると、余りの雄大さ
と距離の大きさに立体的な景色に見えず、まるで一枚の平坦な絵を見ている様
でした。 アラスカで見てきた雄大な氷河と紫色に晴れ上がった空、地平線ま
で何もみえず全く音のない世界、そして夜空の芸術オーロラの記憶とあいまっ
て、アメリカのスケールの大きさと懐の深さをあらためて感じていました。 

ちょっと小用を足したくなって、トイレに行きました。 目の前の小窓からは
北壁が見えています。 「あ〜〜なんと言う幸せなんだろう」と思った瞬間、
私の隣で同じように立って小用を足している人をちらりと見たら、なんと日本
人だったのです。 今でこそ世界中何処に言っても観光地には日本人だらけで
すが、外国に行く事自体がめずらしかった1970年代です。 私は、夢から
さめそうになるのをこらえ、必死になって窓の外の景色を見つめ続け、こんな
ところで日本人と並んで小用を足している事を記憶から抹消しようと集中した
のです。

ひとつの外国語を学ぶと言う事は、その言葉の世界に身を投じる覚悟でなくて
はならないと思うのです。 徹底的に日本人は排除して、ネイティヴだけの世
界に浸って、本物の生きた言葉を素直にそのまま吸収しようと思う強い覚悟と
信念が大事だと思うのです。 発音の習得は、まさにその第一歩です。 妥協
は一切許さない位の気持ちがなければ、正しい習得は難しいでしょう。

(第5回に続く)


それでは皆さん、また来週!


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